インド百景。

坂田マルハン美穂のインド生活通信

 
 

9月18日(水)。これは、バンガロール在住の日本人女性からなる「さくら会」のランチでの様子。MGロード沿いのホテル、VIVANTA by TAJ 内にあるチャイニーズレストランが会場であった。数カ月前に、香港から新しいシェフが着任したとのことで、以前よりも料理のクオリティが上がっている様子。この日は、チャリティ・バザールで購入したレース編みのネックレスを着用したいがあまり、それに合うサリーを選んだ。

9月19日(木)。ミューズ・クリエイションで、『サリー&テキスタイル講座』を受講したメンバーと、テキスタイルの展示会へ。昨今のインドはホリデーシーズンに加え、年末にかけては結婚のシーズン。ファッション関連の展示会などは、随所で開催されているのだ。展示会によって、そのヴェンダーの顔ぶれ、品揃えは異なるが、今回はなかなかにいい商品が並んでいた。大半の参加者が、サリーをご購入。直接、職人やその関係者から購入するので、ブティックなどよりも遥かにお手頃価格で、よい品を入手することができる。尤も、「お気に入りの一枚」を見つけ出すのは、初心者にはなかなかに難しいのではあるが、そのあたりのポイントも伝授。

9月20日(金)。わたしがバンガロールにいる限り、サロン・ド・ミューズは毎週金曜日にオープンだ。ミューズ・チャリティバザールが終わったばかりだが、11月30日にはOWCのクリスマス・バザールが控えている。去年はテーブルを1つだけ借りたが、今回は3つレントすることに。チーム布、紙の作品販売だけでなく、今回はチーム食の焼き菓子などもパッケージに入れて販売する予定。加えて、チーム歌「ミューズ・クワイア」もステージで歌うことに。というわけで、実質あと約2カ月、次なる目標に向けて、早くも再始動なのだ。

ところで、このチョコレートはバンガロール拠点のチョコレートブランド、BLISSの一粒チョコ。とてもおいしいのだ。帰任されたメンバーが、ミューズ・クリエイションへギフトとして差し入れてくださったもの。ありがとうございます。

9月21日(土)。毎週土曜恒例のアーユルヴェーダマッサージを受けに行った。1週間の疲れをゆっくりと取ったつもりだったのだが……今ひとつ、すっきりしない。

ところで、これは、初めて作ってみたロールケーキ。いつものことだが、我が家の菓子は、100%インド素材。いつもカステラに使っているオーガニックの小麦粉 (MAIDA)と、オーガニックの無漂白の砂糖、そしてローカルの生クリームを使用。切り方が難しく、見た目が今ひとつだが、味わいはかなり美味であった。

9月22日(日)から数日間。体調不良。身体のサイクルから来る毎月の不調が、今回は著しく、頭痛や吐き気、腰痛、腹痛などが一気にきた。ホルモンバランスの崩れであると察せられ、これも更年期障害なのだろうなあ……と、思う。頭痛があっては、仕事も手に付かない。しかし、中途半端に無理をしては長引くことが察せられたので、締め切りの仕事だけを一気に片付け、英語の家庭教師を2時間受講。あとは残り2、3日、果てしなくダラダラと過ごした。ひたすら寝た。

わたしが体調を崩すと、自分まで不機嫌になる夫(←ほんと、いや)であるが、今回は「甘え作戦」を実施し、弱った声で「会社の帰りにココナツウォーターを買って来て」と依頼。 MiPhoneにも書いたが、夫は張り切って、12個も買って来てくれた。そして次々に水差しに注いでくれる。

ココナツウォーターは天然の点滴とも呼ばれ、身体によいのだが、同時に身体を冷やす効果もあるらしい。さあらば、今の体調で飲み過ぎはよくない。にも関わらず、「美穂、ココナツウォーター、飲みなさい」と、ひっきりなしに、持って来る。夫なりの「看病の形」と思えばありがたいが、

「トム・ハンクスは、これで生き延びたんだよ!」

と、映画『キャスト・アウェイ』の話まで持ち出し、たいそう大げさ、かつ、ピントはずれだ。ここは南海の孤島ではないし、わたしは漂流者でもない。

それはそうと、今思えば、この体調不良は「更年期障害」というよりは、単に疲れていたのかもしれないと思う。思い返せば8月に入って、ミューズ・リンクスのセミナーやらミューズ・クリエイションのバザールの準備やら、なんだかんだが詰まっていたのに加え、下旬にはムンバイへの出張もあり、戻ってからも慌ただしかった気がする。

毎日しっかり寝ているし、特に無理をしているつもりはないのだが、身体が気持ちについていっていないのかもしれない。尤も世間一般から見れば、十分に体力がある方だとは思うが。ともあれ、意識的にペースを落とすことも大切なのだと思う。

9月26日(木)。毎年恒例の、OWCが支援する慈善団体が結集するイヴェント。わたし自身、インドに移住して以来、毎年訪れ、ここで慈善団体の方々と顔を合わせ、言葉を交わし、資料をもらい、訪れるべき場所を見つけている。何度も訪れたことのある団体も参加していて、すでに顔見知りの人たちも多い。

本当に久しぶりに、家具店VINTAGE SHOPへ。我が家の家具の大半は、ここで調達した。久しぶりに店主のAMARとも再会。お互い、ちょっと老けましたね。なんてことは言い合わないが、心の中で思う。

8年前に比して、すべてが倍近い値段になっていることに、予測はしていたものの驚く。が、当時が格安すぎたのだと、過去の記録を読んで思う。

インド移住に際して、米国在住時に使用していた家具はすべて処分し、段ボール箱だけを船便で送った。インドに到着して直後から、猛烈な勢いで市場調査を開始し、さまざまな店を見つけ出して生活を整えていった自分の行動力のすさまじさに、過去の記事を見ながら、感心する。

■家具を下見に東奔西走

■どんでん返しな劇的幸運! 好みの家具を格安で入手

9月27日(金)。延々と雨が続いていた時節がようやく過ぎて、空気が乾き始めて来た。思えば、どんよりとした日々の連続も、体調にとってはあまりよくなかったのかもしれないと思う。

サロン・ド・ミューズのあとは、早々に片付けを済ませて、夕食の準備。この日から、デリーから義理の両親がやってくるのだ。我が家には最初の3泊滞在、その後、義理の姉のところに数泊したあと、バンガロールクラブに滞在し、再び我が家へやって来る。家族とはいえ、おもてなしは大切。というわけで、 過ごしてもらいやすいように ゲストルームを整え、ごちそうを準備して、夜のフライトで来訪する二人を迎えたのだった。

9月29日(土)〜。嫁する週末である。土曜の夜は、家族6人で、ホテルのレストランフェアへと赴く。地中海料理その他の特別メニューが準備されるとのこと。夫の家族、親戚は、大多数のインド人家庭とは異なり、食生活の制約がない。夫とわたしは、わたしが今まで出会った誰とよりも、食の好みが一致しているし、夫の家族も、わたしが作るものを喜んで食べてくれる。レストランに行っても、何の問題もない。

特に義姉(といっても年下)のスジャータは、健康志向で、食生活に対する考え方の共通項は多い。注文した料理をみなで味見をし合いながら食べつつ、なんだか不思議なものだなあと、小さく感慨に浸る。

「嫁する」などと書いてはいるが、本当に、大したことはなにもしていない。極めて普通に自由にし、好き勝手をしゃべっているだけである。ありがたいことである。

9月29日(日)。家族揃って、家でのんびりと過ごす。朝、昼、晩と、食事の準備はわたしがやるが、それ以外は、みな気ままに過ごす。

わたしは体調不良で手つかずだった仕事に集中させてもらう。夫と義理の両親は、夜、「スクラブル」という頭脳ゲームに興じていた。ヴォキャブラリーの多さと閃きが勝負のこのゲーム。勉強になるといえばなるが、わたしが不利すぎる。このときばかりは、参戦を遠慮した。

10月1日(火)。ミューズ・クリエイションのチーム歌メンバーによる、バザールお疲れさま打ち上げカラオケ大会。近々帰任するメンバーのお別れ会の意味もこめて。

10月2日(水)。この日はガンディの誕生日につき、祝日。が、朝は6時起床で、FM熊本のラジオ収録。朝は頭の回転は鈍いし、声も出にくいしで、すでに5年も続いている収録ではあるが、毎回、ちょっと辛い。

午後は、家族で映画を観に行くことに。いったい、いつ仕事に集中できるんだ! と若干のストレスを溜めつつも、好きな俳優(イルファン・カーン)主演の観たかった映画(The Lunchbox)につき、見に行ったのだった。上映前のコマーシャル時の音響が、あまりにも強烈すぎて、うるさい。ティッシュで耳栓をするマイハニー。向こうでスジャータが耳を塞いでいるので、彼女にもティッシュ耳栓を渡す。義父ロメイシュに渡そうとしたら、「僕は、耳が悪いから、これくらいでちょうどいいよ」とのこと。ちなみに、スジャータが予約してくれた席は最後部。このあたりの好みもインド家族とわたしは一致しているので助かるのだ。

10月3日(木)。毎週木曜日の午前中、市内のホテルLeela Palaceで開催されているOWCのコーヒーモーニング。この日は、クリスマスバザールのヴェンダーのテーブル予約が開始されるというので、早めに赴いた。1テーブル借りるのに6000ルピーとかなり高い。が、OWCはそもそも慈善活動を目的としたグループで、このお金も、何らかの社会貢献となる。

それに、ミューズ・クリエイションのメンバーの多くが、直接、販売に携わって楽しめるスペースが欲しい。というわけで、思い切って3つのヴェンダーを借りることにしたのだった。早めに赴いたこともあり、去年と同じテーブルの周囲3つ、いいポジションを予約することができた。歌が披露されるステージにも近いので、ヴェンダーから出演者に声援を送ることもできる。楽しみだ。

ところで上の写真は、久しく改装していたホテルのダイニングがリニューアル・オープンしていたので、写真を撮らせてもらった。スイーツがあまりにもかわいらしくて、ついつい。

ランチタイムは、TAJ WESTENDへ。今度は、チーム紙のリーダーたちが企画してくれたメンバー親睦ランチ会に参加した。毎週、サロン・ド・ミューズをオープンしているとはいえ、毎回全員が参加するわけではないから、メンバー同士で知らない人もいる。人の入れ替わりが多いので、こういう機会があるのは、とてもいいと思う。

リーダーを務めてくれたメンバーが近々帰任ということもあり、そのお別れ会も兼ねて。

出会いも多く、別れも多い、ミューズ・クリエイションの活動。いろいろ思うところがあるが、ともあれ、すべてが、ご縁。

長い人生の束の間の時期を、縁あって、異郷の地で過ごす。

そこで縁あって出会った人たちと、ともに、「よき時間」を過ごす。

ミューズ・クリエイションの場が、インド生活の記憶に、色を添える思い出の一つになってくれれば、わたしも、とてもうれしい。

というわけで、さて、今日の午後もサロン・ド・ミューズだ。今日は、ロメイシュ・パパ(←ガールズ好き)も、ぜひ遊びに来たいと言っていたので、招いている。面白い午後になりそうだ。