坂田マルハン美穂のインド生活通信

 
 

夫の右側の男性は、彼のMIT時代のクラスメイトで、現在、印ゴールドマンサックスのCEOを務めるバンティ・ボーラ。我が夫も若く見えると思ったが、彼もまた、ずいぶんと若々しく爽やかな印象だ。

彼の妻もMITのクラスメイトだということ。カクテルタイムに話す3人のフレンドリーさが微笑ましい。

ボーラ夫妻はインド系アメリカ人、即ち米国生まれのNRI。バンティはグジャラート州が出自だとのこと。数年前にバンガロールに赴任した際、米国の母親も伴って帰国し、母も一緒に暮らしているという。

将来また米国に戻るのかどうかはわからないようだが、今はここでの暮らしにも慣れ、それなりに快適に暮らしているようである。

左の赤いクルタを着ている男性は、教育、IT関連でよく知られるパイ氏。以前紹介した一大給食センター、アクシャヤ・パトラの創始者のひとりである。

■遍くこどもに給食を。食事が育むインドの未来。(←Click!)


みな、それぞれが、それぞれの分野で豊かな経験と知識を備えているだけあり、話の広がりが非常に興味深い。

それにしても、インドを知るために、こうして議会の数十名が一気に視察に訪れ、その国の人々と語り合う機会を設けるというのは、意義深いことと思われる。

2000年に米国のITバブルが崩壊したころから、母国インドに戻る米国在住のインド人が増えて来た。

この件については、わたしがインド移住を切望するきっかけとなったジョージタウン大学の語学学校での経験につながる。

2003年。ジャーナリストのトーマス・フリードマンが、バンガロールに駐在し、ニューヨークタイムズにコラムを連載していた時期。

インドから米国への頭脳流出 (BRAIN DRAIN)傾向がおさまり、頭脳循環(BRAIN CIRCULATION)という現象が起こり始めたころ。

『フラット化する世界』がベストセラーとなり、BRIC’Sという言葉があちこちで聞かれるようになり、BPOだ、コールセンターだとインドが従来とは異なるキーワードで語られるようになった。

そんな中、米国が外国人に発給する就労ヴィザであるところのH1Bヴィザを巡り、インドと米国の間ではさまざまな問題が発生している。

と詳細を綴るとややこしくなるので、取り敢えず深くは触れない。

1時間半ほどに亘っての、熱い対話のあとは、場所をブルージンジャーという屋外のレストランに移しての親睦ディナー。

すでに席は決められており、わたしたちのテーブルには、米議会から2名、その家族といった構成であった。

わたしの隣席にいた米議会の女性は、H1Bヴィザ関連のプロジェクトに関わっているとのこと。H1Bヴィザは、インド人枠が非常に大きく、今回の来訪は、彼女にとって、現状把握のうえで重要であるに違いない。

彼女の向かいには、カリフォルニアで弁護士をしているという彼女の娘が座っている。母親はワシントンDCから、娘はサンノゼから訪れ、バンガロールで合流というのも面白い。

面白いと言えば、この夜、一番興味深い会話ができたのは、一番上の写真の左から2番目に映る男性。RKミスラ氏だ。

食事も終わり、人々が去り始めたころ、わたしのテーブルにやってきた。わたしが唯一の日本人であることに興味をもったようである。

というのも、彼はIITカンプールを卒業したあと、東京大学へ留学していたのだ。ちょうどわたしが大学を卒業して上京し、ニューヨークに渡るまでの期間、彼も東京にいたらしいから、世代もほとんど同じだと思われる。

当時、彼はインド人で唯一、日本に送られた奨学生だったという。

森喜朗元首相はインドに対する関心が強く、日印友好に貢献していることで知られるが、その橋渡しを務めたのもミスラ氏だとのこと。トヨタがバンガロールに工場を立ち上げる際にも、関わったとの話である。

日本は大好きだが、しかしインドに対して、何もかもが後手に回りすぎているということを、ずいぶんと熱を込めて悔しそうに話す。

「1995年ごろから、折に触れて、これからはインドの時代だ、中国じゃないと説いて来たのだけど、誰も耳を貸してくれなかったよ」

と、彼。それは、開拓するには確かに適切な時期であったが、しかし日本人には早すぎた。その間、他国は着々とインド進出を果たし始めていたのだが。

ちょうど1年前、バンガロールで開催された東大事務所開設の式典。その際に、わたしが受けた違和感、いや、憤りにも近いパネルディスカッションの有り様について言及したところ、ミスラ氏も深く頷いていた。

あの日、彼自身はバンガロールにおらず出席できなかったが、インフォシスの創業者であるナラヤン・ムルティの参加を促したのは彼だったという。

「ナラヤン・ムルティは、あのイヴェントに対して、間違いなく落胆されていましたよ」

とわたしが言うまでもなく、親日家である彼がいかに残念に思っていたかを彼も語っていた。

優秀な人材を招き入れるために、なにをすべきなのか。真にそのことを考えれば、比較的シンプルな答えにたどりつくと思うのだが……。

文科省による「グローバル30(国際化拠点整備事業)」。今はどういう状況なのであろう。


■東大バンガロール事務所開設と、約10年前の記録 (←Click!)

以下、読んでくれる人が果たしているのかどうか定かではないが、10年前、ジョージタウン大学の英語集中コース(3カ月フルタイム)に通った際にまとめたレポートの日本語版と英語版を添えておく。もう、10年もたってしまった。


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インドの新経済

坂田マルハン美穂

Advanced English
ENFL 055.01

Georgetown University
Center for Language Education and Development

2003年12月

【要綱】

I. 序文

II. インドの頭脳流出(ブレイン・ドレイン)の背景

III. 米国におけるインド人就労者(IT関連)

IV. 米国のIT(Information Technoroly: 情報技術)業界に於けるインド人の貢献

V. インドの頭脳流出の利点と不利点

VI. インド及び米国に於けるIT業界の現状

VII. インドの新経済

VIII. 結論


 

【概要】

1947年に、インドが英国から独立してまもなく、インドの指導者たちは「新しい国」の地盤を築きはじめた。時の首相、ネルーは、その一環としてインド工科大学を設立、現在インド国内には6つのキャンパスがある。

インド工科大学および他の大学は優秀な学生を輩出してきたが、彼らの多くは西側諸国、特に米国に移った。この頭脳流出現象は1950年代に始まり、以降、半世紀に亘り継続している。

1990年代、カリフォルニアのシリコンバレーでIT(インフォメーション・テクノロジー)ブームが起こった。無数のインド人技術者たちが米国に、米国政府や企業もまた、彼らを快く受け入れた。

頭脳流出により、インドは優秀な若者たちを失い続けてきた。国連開発計画(UNDP)によると、インドは頭脳流出により年間20億ドル損失を被っているという。一方、インドは「IT国家」という名声を獲得した。

2000年、米国のITブームは崩壊し、多くのインド人雇用者は職を失った。帰国を余儀なくされた彼らはしかし、現在、母国の経済成長に貢献している。

現在、米国での就労経験のあるインド人は、自分たちのビジネスを起こし、ハイテク・ブームを起こしつつある。同時に米企業は低賃金で雇用できるインドにオフィスを拡張しつつある。

米国とインドが、均等に利益を得られるとしたなら、この傾向はインド経済の活性化を促すこととなるだろう。


 

インド新経済

(I. イントロダクション)

1947年、英国から独立して以来、インドは「頭脳流出(brain drain)」という深刻な現象に直面してきた。「頭脳流出とは、高度な技術を身につけた人材が母国を離れ、より高収入を得られる国へ移る現象をいう」 (Longman Dictionary)。1950年代の後半より起こり始めた頭脳流出により、インドは高学歴の優秀な人材を、米国を中心とした先進諸国に「輸出」し続けてきた。

1990年代、カリフォルニアのシリコンバレーでITブームが起こり、膨大な数のインド人技術者、専門家らが米国に移り住んだ。米議会は年々、H1Bビザ(一時就労ビザ)の発給枠を拡大し、インド人は全世界の合計発給数の20%以上を占めるようになった。「1993年には、インド国内の大学でコンピュータ・サイエンスを学んだ卒業生のうちの84%が、米国で就職、あるいは更なる高等教育を受けるために渡米した」 (Constable A23)。

2000年以降、米国のITバブルは崩壊し、インド人を含む多くの労働者が職を失った。現在、頭脳流出の逆流、つまりインド人らが帰国する兆候が現れてきた。米国での就労経験があるインド人らは、母国の、特に近年、IT産業の著しい発展で知られるバンガロールを目指して帰国を始めている。米国において職を失ったインド人らにとって、バブルの崩壊は困難な状況ではあったが、インド経済にとってはポジティブな要因となった側面がある。

インドが長期に亘る頭脳流出によって損失を被ってきたのは事実だが、インドそのものに、若く優秀な人材を引きつけるマーケットがなかったのも事実だ。一方、米国は可能性に満ちあふれた土壌があった。頭脳流出は起こるべくして起こった現象と言えるだろう。

しかしながら、この現象は今、変貌を遂げつつある。いくつかの米国企業が、インドにオフィスを拡張し、米国での就労経験があり、母国で就職することを望んでいる人々を採用しはじめたのだ。同時にインド政府や各種組織、団体も、起業家支援を開始し、米国企業や投資家を積極的に招聘しはじめた。

「頭脳流出」は最早過去の遺物となりつつある。むしろ現在の現象は「頭脳循環」と呼ばれるべきだろう。

「彼らは資金とビジネス・コンタクトを持って帰ってきている。これは実にすばらしいことだ」。ニューデリーを本拠とするソフトウェアのロビーグループNASSCOMの取締役、Dewang Mehtaは語る (CNN.com)。今、インドは積極的に起業家を支援し、ビジネスとインフラストラクチャーの基盤を整備する必要があるだろう。

 

(II. インドの頭脳流出の背景)

1947年にインドが英国から独立を勝ち取ったとき、国の指導者たちは新しい国の基盤・構造の整備を始めた。その中でも特筆すべき事業は、1950年代後半より着手されたインド工科大学(IIT)の設立だった。ときの首相、ネルーは、インド国内のさまざまな産業のプロジェクトを構築、運営できるエリートたちの養成を、主たる目的に掲げていた(Constable A23)。

インド政府は、デリー、チェンナイ、ボンベイ、カンプール、カラグプール、ローキー、6つの都市にそれぞれインド工科大学(IIT)を設立した。毎年10万人を超える学生らが受験するが、合格者はわずか2000人程度の狭き門である。この競争率は、米国のハーバードやスタンフォードよりも高い (CNN.com)。

しかし、ネルー元首相の思惑とは裏腹に、インド工科大学(IIT)をはじめ、Indian Institutes of Management (IIM), Regional Engineering College, Madras University, and Pune Universityといった優れた教育を行っている大学の卒業生らは、母国に何ら貢献することなく、米国へ渡っていった。この傾向は1950年代後半より顕著になり、以降半世紀以上に亘って続いてきた。

1990年代に入ると、シリコンバレーのITブームに伴い、より一段と多くのインド人技術者らが米国を目指した。すでに頭脳流出は防ぎようのない現象となっていた。インドは貧困にあえぐ発展途上国である。ビジネス基盤は極めて劣悪で、優秀な学生らを受け入れる十分な企業が、そこにはなかった。

知的で精力的な若者らが、西側諸国、特に米国を目指すのは、自然の流れだった。彼らの多くはアメリカンドリームをつかみ取ることを夢見ていた。米国は自由の象徴であり、その米国で働くことは、若者にとって極めてエキサイティングな挑戦でもあった。このような傾向は、なにもインドに限って起こったことではない。アジアの、例えば中国や台湾、韓国の学生らも、同じような理由で米国を目指してきた。

 

(III. 米国におけるインド人就労者)

年々、米国における永住権の獲得は困難になりつつあるが、しかし他の先進諸国と比較すると、米国は移民に対して積極的に門戸を開いてきたといえるだろう。特にインド人は、米国の企業で比較的優遇されてきた。

「毎年、世界中から何百人、何千人もの人々が米国の就労ビザを申請するが、米国の雇用者はインド人就労者に対し好意的だ。なぜなら彼らは英語を話せるし、要求も少ない。更に母国の高度な教育機関のおかげで、他の国の人々よりも優れたコンピュータに関する技量を身につけている」 (Constable A23)。

1990年代のITブームの折、米国は膨大な数のH1Bビザ(一時就労ビザ)をインド人就労者に発行した。「米議会は2000年、H1Bビザの年間発給枠を、それまでの11万5000人から19万5000人にひきあげた。そのうちの45%近くは、ここ数年、インド人によって占められている」 (Creehan 6)。

 

(IV. インド人労働者の、米国IT産業に於ける貢献)

米国のインド人労働者は、米国のIT産業の発展と景気の向上に貢献してきた。「インド人らは、自分たちの文化や言語、教育システムが、自分たちの数学やコンピュータのコードライティングに於ける優れた技術の背景になっていると信じている」(CNN.com)。

事実、有名なソフトウエア・アプリケーションの大半は、インド人コードライターによって制作されている 。シリコン・バレーの起業家であり、インド工科大学(IIT)の卒業生であるKanwal Rekhi氏によると、インド人の精神は哲学的で自由であり、またインドでは、数学は生活の一部であり、インド人はみな、数学者であるとのことである(CNN.com)。

 

(V. インド人の頭脳流出に於ける、有利な点と不利な点)

優秀なインド人が米国の企業で働いている間、彼らの母国はあがいていた。インドは優秀な人材を育成しているにもかかわらず、彼らから何ら利益を得ていなかった。「何十年にも亘り、大半のインドの頭脳が欧米に流出している事実は、納税者であるインド国民らにとって、あたかも欧米の産業に助成金を与えているようなものだとの不満があった」(Creehan 6)。

2001年に発表された国連開発計画(UNDP)の報告によると、インドはコンピュータ技術者の米国への頭脳流出により、年間20億ドル損失を被っているという(BBC News)。

確かにインドは頭脳流出によって多くの打撃を受けてきたが、同時に「IT国家」という名声を獲得するに至った。

「メイド・イン・ジャパンの電化製品が一級品であることを示すように、インド人のソフトウエア・プログラマーは一級品であるということを、シリコンバレーに於けるインド人らは、全世界に対して示した。つまりインド人のIT業界に於ける「ブランド化」を図ったともいえる」と国連開発計画(UNDP)の報告は続けている (BBC News)。

2000年、米国のITブームは急速に冷え込んだ。以来、無数のIT関連企業が倒産し、多くのインド人を含む労働者が解雇された。さらには2001年9月11日の同時多発テロは経済の冷え込みに拍車をかけた。「インド人のIT技術者が最も多く働いているカリフォルニア州のサンタ・クララでは、過去2年 [2001-02]の間に19万人の労働者が職を失った (United Press International)。

H1Bビザで働く外国人就労者が職を失った場合、それと同時にビザのステイタスも失うことになる。つまり、すぐに次なる仕事を見つけない限り、即刻、米国を離れなければならなくなる。かつては帰国を余儀なくされたインド人らは、やむを得ず帰国する、つまり悲観的なケースが多かったが、最近では自ら率先して帰国を選ぶインド人が増え始めている(United Press International)。

 

(VI. 現在のインドと米国におけるIT業界)

ここ数年、無数のインド人技術者は米国を去り、母国で起業し始めている。それと同時に米国の企業もインド市場に着目しはじめた。「最近、海外資本や合弁事業を優遇する方向で、インドのビジネス法が見直されたことにより、1998年に米マイクロソフト社がインドのハイデラバードに研究開発センターを開設したのを始め、多くの米IT企業が、インド進出を目論んでいる」(Constable A23)。

ソフトウエア会社のオラクルの場合、インドオフィスで新規採用した4000名の従業員のうち10%は、かつて米国で就労経験のあるインド人によって占められている(Jayadev)。

2003年7月、「シリコン・インディア・マガジン」は、シリコンバレーの心臓部であるサンタ・クララでジョブ・フェア(企業説明会)を企画した。約2000人のインド人技術者らが履歴書を持参し、インド国内に事業展開を予定している米国企業の人事採用担当者に手渡した。参加した企業は、インテル、マイクロソフト、ナショナル・セミコンダクター・カンパニーなど28の有名企業である」(Jayadev)。

「新しい投資やアイデアへの開眼により、国々が正しい環境を創造するとき、彼らは失ってきたものを奪回することができる。バンガロールの今日の成功は、つまりシリコンバレーのインド人らの存在が大きく影響している」(BBC News)。

最早、今日のインドは頭脳流出の被害者ではない。確実に至るところで、頭脳流出は逆流を始めている。いわば今日の現象は「頭脳循環: brain circulation」と呼ばれるべきで、米国のメディアもインド経済について積極的に取り上げ始めている。

たとえば2003年10月20日のニューヨークタイムズ紙では、「Sizzling Economy Revitalized India [躍進する経済がインドを再生する]」と題し、インド経済に対する楽観的な見通しを示している。またIT業界だけでなく、インドの自動車・部品産業の成長についても言及している。

同じくニューヨークタイムズは翌月にも 「Sleepy City Has High Hopes, Dreaming of High Tech [ハイテクの夢を見る……眠れる町が抱く大いなる希望]」と題した記事を掲載。IT産業のハブシティとして特筆すべきバンガロールだけでなく、Chandigarhといった小さな地方都市(町)までもが、テクノロジーの町として成長し始めている様子をレポートしている。

ニューヨークタイムズは従来、天災や貧困、疫病、奇習といった、インドに対してネガティブな記事ばかりを主に紹介していた。しかし最近は、その視点が変わりつつある。

加えて2003年の12月8日に発行されたビジネスウィークマガジンは「The Rise of India [インドの台頭]」という特集を組み、約10ページに亘って、インド経済の現状と将来の見通しを、一部、中国経済とそのバックグラウンドと比較しながら分析・紹介している。

米国議会は次年度[2003年10月~2004年9月]のH1Bビザの発給枠を、従来の19万5000人から6万5000人へ大幅に減らすことを発表した。この大きな削減は、インドと米国両方のIT業界に打撃を与えることになるだろう。

インド最大のITサービス会社、タタ・コンサルティング・サービスのCEOであるS. Ramadoraiは、しかし楽観的である。「[たとえ米国が]雇用を海外 [インド]に広げたとしても、企業はビジネスをうまく運営していけるだろう。 [...] 顧客は単に、インドにプロジェクトを送ってくれればいいのだ。それはインドのビジネスチャンスが増えることにもつながる (Einhorn)。

現在、米国の政治家や専門家らの間で話題になっているトピックスのひとつが、インドや中国で低賃金雇用を実施するアウトソーシングについてだ(Einhorn)。もしも、米国とインドの利益が均等に分配された場合、この傾向はインド経済を活気づける一つの起爆剤となりえるだろう。

「技術や才能の恩恵を被る国の利益は、他の国の犠牲の上にあると、頭からきめてかかる人が大半だろう。しかし「頭脳循環」は現在のところ、高度技術者である移民たちによって、双方に利益をもたらしている。つまり利害関係がうまく成立しているといえるだろう(Saxenian 28-31)。

 

(VII. インドの新経済)

21世紀の始まりとともに、インドの新世紀も開けようとしている。インドの長い歴史の中で、今は最も重要な時機であることは確かだ。今こそ、未開拓の可能性に着目すべきだろう。しかしながら、インド経済の発展には数々の障害が横たわっている。多くの懐疑派は、インド経済の将来に対して悲観的だ。

インド政府と関連機関は、ビジネス基盤の整備と、ビジネス法の制定に早急に着手するべきだろう。同時に他の根本的な問題の解決も急務だ。

たとえばインドが抱える膨大な人口(10億人超)のうち、26%は貧困にあえいでいる (Waldman A7)。またわずか65.38%というインド国民の平均識字率は、初等教育拡充の必要性を示している(Census of India, 2001)。

ハイウエイの不足もまた、産業の成長を阻む理由となっており、新設が急がれる。

事実、ボンベイとプネ間に最近完成したばかりのハイウエイは、すでにインド経済の発展に貢献している。「プネで運び込まれるソフトウエアや自動車部品などの工場製品などは、[ボンベイに移送され]、効率よく海外に輸出されるようになった。このことで、プネはインドの新しい経済都市としての地位を築き始めている(Business Week, 78)」。

ともあれ、インドは大きなチャンスを目前にしているには変わりない。国連によると、「発展途上国の挑戦は、プロフェッショナルな人材を自国に留めると同時に、帰国する人々を支援することによる」(BBC News)。

現在、欧米との関わりを持つ若きインド人のプロフェッショナルたちは、母国の新しい経済基盤の構築に貢献するため、欧米とインド間を結ぶ「橋渡し」としての役割を果たすべきだろう。



The New Indian Economy

Miho Sakata Malhan

Advanced English
ENFL 055.01

Georgetown University
Center for Language Education and Development

December 2003


 

Outline

I. Introduction

II. Background of India's brain drain

III. Indian workers in the U.S.

IV. Contribution of Indian workers to the U.S. IT industry

V. Advantages and disadvantages of Indian's brain drain

VI. Current situation of the IT Industry in India and the U.S.

VII. The new Indian economy

VIII. Conclusion


 

Abstract

Soon after India gained its independence from Britain in 1947, the country's leaders began to create the foundations for a new country. Prime Minister Nehru built the Indian Institutes of Technology (IITs), and today the country has six IITs.

The IITs and other schools have educated excellent students, but many of them went to the West, especially to the U.S. The Indian brain drain began in the late 1950's, and it has continued for a half century.

In the 1990's, with the IT boom in Silicon Valley, California, countless Indian IT specialists migrated to the U.S. The U.S. government and IT companies welcomed these workers.

Because of the brain drain, India has lost many well-educated young people. Moreover, according to the United Nations Development Program (UNDP), India has lost 2 billion dollars per year because of the brain drain. On the other hand, India has acquired a reputation as an IT specialist country.

The IT boom in the U.S. crashed in 2000, and many Indian workers lost their jobs. However, these days, many Indians are returning home, and now, U.S. trained Indians are contributing to their homelands' economic development.

Recently, there have been signs of a high-tech boom in India, and U.S. trained Indians are starting their own businesses in India. At the same time, U.S. companies are expanding their offices in India by hiring low-paid workers. If the financial benefits can be evenly distributed between India and the U.S, the trend will encourage the Indian economy.

(248 words)


 

The New Indian Economy

(I. Introduction)

Since India became independent from Britain in 1947, India has been facing a serious phenomenon which is called a'brain drain'. "Brain drain means'a movement of highly skilled or professional people from their own country to a country where they can earn more money" (Longman Dictionary). India's brain drain began in the late 1950's, and India has continuously exported highly educated professionals to developed countries, mainly to the U.S.

In the mid-1990's, an IT boom occurred in Silicon Valley, California, and the wave of prosperity resulted in a huge number of engineers and specialists immigrating from India. Year after year, the U.S. Congress raised the limit of H1B-visas, and India was issued more than 20 percent of the world wide total. "In 1993, 84 percent of new computer science graduates [in India] headed for jobs or advanced study in the United States" (Constable A23).

After 2000, the IT bubble burst, and many people lost their jobs, including Indians who worked in the U.S. Now, there are signs the brain drain is reversing. The Indians who have work experience in the U.S. are looking homeward, especially to Bangalore, which is well known for its IT industry. It is a difficult situation for the people who lost their jobs in the U.S., but for the future of India, it is positive.

Undoubtedly, India has suffered a brain drain for a long time, but it mustn't be forgotten that India didn't have enough opportunities to attract well-educated young citizens. On the other hand, the U.S. offered great possibilities. Thus, the brain drain was an unavoidable situation.

However, the situation is now changing. Several U.S. companies are expanding their offices in India, and they are hiring U.S. trained workers who are interested in returning to India. At the same time, the Indian government and other organizations have started to encourage entrepreneurs and invite U.S. companies and investors. India's brain drain is a relic of the past, and the phenomenon should now be called'brain circulation'.

"They are bringing back the money and they're bringing back the business contact, it is fantastic" said Dewang Mehta, president of NASSCOM, a New Delhi based software lobby group (CNN.com). Although India lost business opportunities because of the brain drain, now India should encourage its entrepreneurs to establish new businesses and improve the infrastructure.

(II. Background of India's brain drain)

India gained its independence from Britain in 1947, and the country's leaders began to create the infrastructure of the new country. One of the remarkable events was the establishment of the Indian Institutes of Technology (IITs) in the late 1950's. "Prime Minister Jawaharlal Nehru founded the IITs'to train an elite that could build and manage massive industrial development projects"(Constable A23).

The Indian government has six IITs, located in Kanpur, Kharagpur, Bombay, Delhi, Chennai and Roorkee. Each year, more than 100,000 students take the IIT entrance exam and only 2,000 of them are admitted. The competition rate is much higher than for admission to Harvard and Stanford in the U.S. (CNN.com).

Contrary to Nehru's vision, although, the IITs and other schools, like the Indian Institutes of Management (IIMs), Regional Engineering College, Madras University, and Pune University, offered on excellent education, many students left the country and went to the U.S. without making any contribution to their own country. The issue became conspicuous in the late 1950's, and it has continued for a half century.

Finally, in the 1990's, with the IT boom in Silicon Valley, countless Indian IT specialists migrated to the U.S. In fact, the brain drain was an unavoidable phenomenon. India is a developing country with much poverty. There were not enough companies which could accept well-educated young people, and the business infrastructure was really poor.

It was natural that energetic and smart young people headed to the West, especially to the U.S. Many of them had ambitions to grab the American dream. America was a symbol of freedom, and working in the U.S. was really exciting for young people. The trend occurred not only in India, but also in many other countries in Asia, for example, China, Taiwan, and South Korea.

(III. Indian workers in the U.S.)

Year after year, the process of getting a U.S. permanent resident card (green card) becomes more difficult, but compared to other industrial countries, the U.S. is more receptive to immigrants. Especially, Indians have been given priority to work in U.S. companies.

"Although hundreds of thousand of people around the world apply for such visas annually, American employers like Indians because their English is good, their demands are minimal, and their government's educational system has given priority to computer training far longer than many other countries" (Constable A23).

In the 1990's, during the IT boom, the U.S. issued a huge number of temporary (3 to 6 years), professional working visas(H1B), to Indian workers."The US senate increased the quota of H1B visas for skilled workers from 115,000 to 195,000 in 2000. Indians now receive nearly 45 percent of such visas each year" (Creehan 6).

(IV. Contribution of Indian workers to the U.S. IT industry)

Indian workers in the U.S. have contributed to the progress of the IT industry and encouraged the U.S. economy. "Indians believe their culture, language and education system create students naturally suited to excel in areas like math and computer code writing" (CNN.com).

In fact, large number of popular software applications were written by Indian code-writers (CNN.com). Kanwal Rekhi, a Silicon Valley entrepreneur and IIT alumnus, says that the Indian mind is philosophical and freethinking. Additionally he believes that mathematics is a part of the daily life in India, and Indians are mathematicians (CNN.com).

(V. Advantages and disadvantages of Indian's brain drain)

While the Indians were working for U.S companies, their motherland was struggling. India had great human resources but had not profited from them. "With the exodus of many of India's best minds to the West in the following decades, many Indians railed against what they saw as a taxpayer-financed subsidy for Western industry" (Creehan 6).

According to a report which was issued [in 2001] by the United Nations Development Program (UNDP), India was losing 2 billion dollars per year because of the emigration of computer experts to the U.S. (BBC News). Certainly, India may have lost many resources through the brain drain, but at the same time, India acquired a reputation as an IT specialist country.

The UNDP report said:"The success of the Indian diaspora in Silicon Valley [...] appears to be influencing how the world views India, by creating a sort of "branding'. [...] Indian nationality for a software programmer sends a signal of quality just as a 'made in Japan' label signals first-class consumer electronics" (BBC News).

The IT boom, which swept over the U.S., burst in 2000. Afterwards, countless IT firms went bankrupt, and a large number of workers, including Indians, were fired. After the terrorist attack of September 11, 2001, the situation grew more serious."California's employment figures reveal that in Santa Clara---the hub for Indian information technology professionals---over 190,000 workers lost their jobs in the past two years [2001-02]" (United Press International).

If a foreign worker lost his or her job, the person would lose the H1B visa status at the same time. Thus, if the person couldn't find another job, he or she had to leave the U.S. immediately. However, these days, many Indians are choosing to go back home.'In the past, the only way people returned to India was when they were pushed out; now it is voluntary'(United Press International).

(VI. Current situation of the IT Industry in India and the U.S.)

In the past few years, dozens of Indians have returned to start up their own companies. At the same time, U.S. companies have begun to pay attention to the Indian market."A growing number of big name American firms -- led by Microsoft, which opened a research and development center in Hyderabad in 1998 -- are taking advantage of newly liberalized Indian laws that allow more foreign investment and joint ventures" (Constable A23).

For example, Oracle, a software company, has already advanced into the Indian market."Ten percent of the 4,000 new positions in Oracle's expanded India location are filled by Indians formerly based in the United States"(Jayadev).

In July 2003, Silicon India Magazine hosted a job fair in Santa Clara, California, which is in the heart of Silicon Valley. About 2,000 professional tech workers of Indian origin attended the fair and handed their resumes to recruiters of U.S. companies which are starting operations in India. Intel, Microsoft and National Semiconductor Company topped the list of the 28 participating (Jayadev).

"When countries create the right conditions, including openness to new investment and new ideas, they can recapture some of what they have lost. The Indians in Silicon Valley are an important part of Bangalore's success" (BBC News).

Today, India is not suffering from a brain drain. Indeed, there are many signs that the brain drain is reversing. These days the phenomenon is called'brain circulation' and the U.S. media have started to write about the Indian economy.

For example, on October 20, 2003, The New York Times published 'Sizzling Economy Revitalized India'. The article mentions the optimistic prospects of the Indian economy, and it refers to other Indian industries like auto parts and motorcycles.

One month later, The New York Times picked up a story about India again in 'Sleepy City Has High Hopes, Dreaming of High Tech'. According to the article, not only Bangalore, which is a remarkable IT hub city, but also other small cities like Chandigarh are growing tech cities.

The New York Times used to publish articles on the negative aspects of India, for example, disasters, poverty, disease, or strange customs, but now its point of view is changing. Additionally, the Business Week magazine, which was issued on December 8, 2003, published the article'The Rise of India' as its cover story. Through 10 pages, the article reported on the latest Indian economy and its future.

The U.S. Congress announced a reduction in the number of H1B visas from 195,000 to 65,000 in the next fiscal year, October 2003 to September 2004 (Einhorn). The drastic cut will hit the IT industry both in the U.S. and India.

S. Ramadorai, who is the chief executive officer of Tata Consultancy Services (TCS), India's largest IT service company, is hopeful: "Companies will work out new business models and push [even] more work offshore. [...] The customer will simply send the project to India. This will encourage [job] emigration" (Einhorn).

One of the current hot topics among politicians and specialists in the U.S. is'the jobs that U.S. companies have outsourced to lower-cost locales such as India and China' (Einhorn). If the financial benefits can be evenly distributed between India and the U.S., the trend will encourage the Indian economy.

"Most people instinctively assume that the movement of skill and talent must benefit one country at the expense of another. But thanks to brain circulation, high-skilled immigration increasingly benefits both sides. Economically speaking, it is blessed to give and to receive" (Saxenian 28-31).

(VII. The new Indian economy)

The new century of India has dawned with the beginning of the 21st century, and India is facing the most important period in its long history. Now, its untapped potential should be used wisely. However, there are many obstacles to grow the Indian economy, and plenty of skeptics are pessimistic on the prospects for the Indian economy.

The Indian government and other organizations should make an effort to establish a business infrastructure and new business laws, and they should solve other fundamental problems as well. India has an enormous population - over a billion - and 26 percent of Indians live in poverty (Waldman A7). And the literacy rate in India is only 65.38 percent, which shows the necessity for more elementary education (Census of India, 2001).

The lack of highways prevents the growth of industry and the construction of highways is one of the important priorities. In fact, the new Bombay-Pune highway shows how highways can improve the Indian economy."Pune can ship its goods efficiently and link up with the outside world. As a result, it's one of India's new boom towns and is exporting globally both software and manufactured goods such as auto parts" (Business Week, 78).

Nevertheless, India is facing a great opportunity."The challenge for developing countries, the UN says, is to come up with strategies to keep some professionals at home and encourage other to return" (BBC News). Many young Indians who have had a relationship with the West, especially the U.S., can now build a new economy for their homeland as they become bridges to connect India and the West.



 

Works Cited

AnnaLee Saxenian. "Brain Circulation" The Brookings Review, Winter 2002. 28-31.

Avalos, George. "Foreign Technical Workers in Walnut Creek, Calif., Area Aid Home Countries" Knight Ridder Tribune Business News, 19 Apr. 2002.

" Brain Drain Costs Asia Billions" BBS News, 10 Jul. 2001.

Census of India <http://www.censusindia.net/>

"Commentary: India's Reverse Brain Drain" United Press International, 25 Aug. 2003.

Constable, Pamera. "India's Brain Drain Eases Off" Washington Post, 14 Sept. 2000: A23.

Creehan, Sean. "Brain Strain: India's IT Crisis" Harvard International Review, Summer 2001: 6-7.

Einhorn, Bruce. "An Irresistable Offshore Tide for Jobs" Business Week Online, 19 Nov. 2003.

Hattori, James. "Reversing India's Brain Drain" CNN.com, 25 Aug. 2000.

Jayadev, Raj. "Reverse Brain-Drain: U.S.-Based Indian Tech Workers Go Home" Pacific News Service, 1 Aug. 2003.

Longman English - English Dictionary.

Rohde, David. "Sleepy City Has High Hopes, Dreaming of High Tech" New York Times, 20 Nov. 2003.

"The Rise of India" Business Week, 8 Dec. 2003. 78.

Waldman, Amy. "Sizzling Economy Revitalizes India" New York Times, 20 Oct. 2003: A1.