インド百景。

坂田マルハン美穂のインド生活通信

 
 

セミナーの具体的な内容などについては、ホームページ上にミューズ・リンクスのコーナーを設け、詳細を記す予定だ。今回のセミナーでの経験をもとに、改めて、周囲の意見を聞きつつ、ミューズ・リンクスの方向性を定めて行こうと思っている。

また、FacebookにもMuse Linksのグループを設置した。今後、セミナー参加をご希望の方は、ぜひジョインしていただければと思う。

セミナーを終了後、柴田氏の司会で30分余りの質疑応答、意見交換を行ったあと、あとは親睦会となった。

あちこちで名刺交換が行われている様子もまた、心温まる光景だ。我が夫も、短時間ではあるが、こっそりセミナーの様子を観察していた。また、親睦会では参加者の方々と言葉を交わしていた。

終盤には、わたしもしっかりビールを飲みつつ、一段と饒舌になり、若者を相手についつい熱く語ってしまった。思ったことを「オブラートに包まず」に、ストレートに話すのは、今どきの日本の若者には強烈過ぎるだろうかとも思ったが、いろいろ考えるのもなんなので、思うに任せて、語った。

もしも20代の自分に向かって言えるならば言いたい、と思うことを、投影するように。

参加者が多いこともあり、全員ときちんとお話をすることはできなかったが、今後は、座談会なども織り交ぜつつ、参加者同士がきちんと認識し合えるような環境づくりができたらと思った。

加えて、今回は最初だということもあり、わたしが主な発信者として語ったが、今後は、参加者同士が生産性のある有意義な情報交換ができるような仕組みづくりを考えたいとも思っている。

ミューズ・クリエイションもそうであるが、バックグラウンドが異なる人たちが、縁あって、同じ時期を同じ異郷の地で過ごしている。一般的には、「住みにくい」とされているこの地において、 愚痴を言い合うばかりでは埒があかない。

同じ住むなら、同じ働くなら、できるかぎり、インドを理解し、前向きな気持ちでいたほうがいい。

インドとはとてつもなく広く、深く、とらえどころのない国である。学んでも、学び尽くせず、語っても語り尽くせず、人は氷山の一角を見るのみだ。それでも、その断片でもを、知らないよりは、知っていた方がいい。わたしが伝えることが、誰かが何かを知ろうとする契機になるだけでも、意義はあると思う。

ミューズ・リンクスの場が、今後、訪れる人たちにとって、能動的な、積極的な気持ちを育む場に育ってくれればと願う。


●参加費2,000ルピーのうち、500ルピーは、慈善団体への寄付金とさせてもらうことにしている。合計12,000ルピー。今月中旬に訪れるBangalore Education Trustへの寄付金の一部にさせていただく予定だ。12,000ルピーとは、同団体の教師の1カ月分の給与を上回る額である。常に財政難である団体だが、きっと喜んでいただけるに違いない。

資料を映し出すプロジェクタだが、これまで、Macのラップトップを接続するとうまく映し出されない機種が主だった。従っては、データを夫のウィンドウズのPCに移植し、彼のラップトップを借りてプレゼンをしていた。

しかしながら、今回、購入したEPSONのプロジェクタはMacにもすみやかに対応。ドライヴァをインストールする必要もなく、使い勝手もよく、しかも値段も数年前の相場に比して手頃であった。携行用バッグもついているので、今後は「出前セミナー」も気軽に行えるというものだ。さすがにスクリーンは大きすぎて持参はできないが。

セミナーは、下記のような流れで行った。

●2:00~ 開場、受け付け

●2:30~ ★レクチャー:インドの概要(さまざまな事象を広く浅く)

●4:00~ Coffee Break

●4:30~ ★レクチャー:インドの衣食住、美容と健康、娯楽などを幅広く

●5:00~ 質疑応答、意見交換

●5:30~ Cocktail Party:親睦会と言う名の、ビール&スナックで飲み会。


何ごとも「前倒し」に準備しなければ落ち着かない性分なので、プレゼンの資料は数日前に完成させていた。配布用の資料の印刷、人数分のクリップボードやネームタグ、ボトル水の準備なども前日までには完了。その一方で、コーヒーブレイク用のお菓子や、親睦会用のドリンク類なども用意しておいた。

米国在住時から、不定期に大人数を招くパーティを開いていたのに加え、この1年間、毎週サロン・ド・ミューズを開いて、多くの方をお招きしていることもあり、気づかぬうちに「集い」が日常化し、準備に慣れたのだと思う。

ただ今回、サロン・ド・ミューズと大いなる違いがあった。予測はしていたのだが……。

偶然、前々日金曜日のサロン・ド・ミューズの参加者も24名だった。そしてこの日も24名。同じ24名なのに、予想以上に、「部屋の圧迫感が違う」のだ。

こんなこともあろうかと、前日には麗しき芳香の百合の花を買い求めていた。加えて、お気に入りの柑橘系ルーム・フレッシュナーをプシュプシュプシュプシュと、しつこく噴霧していた。していたはずだった。

にも関わらず、それらは一瞬にして、「男衆の男臭」にかき消されたのだった。

これはかなりの衝撃だった。実は、ミューズ・クリエイションのメンバー1名が、ご主人とともに参加されていたのだが、二人して、

「金曜日と、全然違う! 空気が違う! うぅぅぅ……」と、こっそりと、しかし確実に、訴え続けた次第である。そんな次第で、男衆メインの場合は、25名が限度だなと実感した次第だ。

そんな話はさておき。

今回、受付や、コーヒーブレイクの際の準備などは、フリーペーパーを発行するエンリッチという在バンガロールの会社で、インターンとして働いている男子学生2名が手伝ってくれた。以前も記したが、今回、エンリッチの柴田氏が、多くの若手駐在員の参加者を募ってくれた。駐在員にあまりネットワークのないわたしにとっては、非常にありがたかった。

ホームページに開催告知を載せた2日後には、すでに定員を超えたため、参加できなかった希望者も少なからずいらした。今後もまた、同じ内容のセミナーを「入門編」として繰り返し行いつつ、同時に、テーマごとのセミナーや座談会など、毎回、異なる企画で以て、月に一度のペースでなんらかの集いを行うことになりそうだ。

それにつけても、だ。

参加者が一番生き生きとしていたのは、紛れもなく、コーヒーブレイクだった。サロン・ド・ミューズでも人気の高いおなじみのお菓子、マンゴー・カスタードクリーム・タルトとカステラを焼いたのだが、これが大好評であった。「セミナーよかったです」の声よりも、「お菓子、おいしかったです」の声の方が大きかった気がするのは気のせいか。そこはかとなく微妙な心境だが、喜んで食べてもらえるのは、とてもうれしい。

飲んだり食べたりのプラスαが、来訪のモチベーションになるのは、事実である。なんというか、ロンパールームのおやつの時間のようなものかもしれない。あの牛乳が、おいしそうに見えたのと同じような効果である。と、相当古い話ではあるが。

今後も、ミューズの目玉として、お菓子は毎回サーヴしようと思う。