インド百景。

坂田マルハン美穂のインド生活通信

 
 

そんな次第で、長くて熱くて豊かな一日が、賑やかに終わったのだった。

社会貢献という名目のもと、自分たちの潜在的な才能や力を引き出し、活用する。

それも、楽しみながら。

個人的な損得勘定なしに、関わり合える人たちとともに。

このようなことを実現できるのは、ここがインドであるからこそ、でもあると思う。

この歳になって、学園祭のようなことができ、学園祭のようなノリで盛り上がれることは、本当に幸せなことだと思う。

普通、主婦は学園祭、やらんからね。

もちろん、諸々の反省点はあるが、あんまり反省ばかりしてもつまらないので、今日までは「充足感」に浸りつつ、さて明日からは、また心機一転、仕事をがんばろうと思う。もちろんミューズ・クリエイションも、常時、ライフワークとして。

昨日のバザールにご来訪くださったみなさま、ヴェンダーの方々、そしてミューズ・クリエイションのメンバーのみなさん、本当にありがとうございました!

そして表面的なことはさておき、根源的には、わたしの行うことを全面的にサポートし、自由過ぎるほどに自由に、家を使わせてくれるわが夫にも感謝である。

以上、読了お疲れさまでした!


■2012年12月のクリスマス・バザールの記録はこちら (←Click!)

●CAFE MUSE

開場前の時間を縫って、写真を撮影しておいた。まずは、ミューズ・クリエイションのヴェンダーから、紹介したい。

カフェ・ミューズ。前回はスコーンを大量に焼いたが、今回はコンセプトを変更。別のお菓子を準備した。

【9時を大きく過ぎて、ようやくヴェンダーらが到着】

一気に来られるよりは、むしろいいかもしれない。9時集合と伝えているにも関わらず、バラバラと来訪するヴェンダーたちを見ていて、思った。

自分たちの結婚式を挙げるため、初めてインドへ来た時のことを思い出す。披露宴は午後7時から開始のはずなのに、7時になっても、誰も来ない会場。身内だけががら〜んとしたホールに待機するばかり。

「ほんとに、誰か、来るの?」

といぶかしく思ったものだが、やがて少しずつ、だらだらと、人がやってきて、入り口に立つ我々新郎新婦は、ひたすらに挨拶やらハグやらを繰り返していたのだった。

それが、披露宴の最大のイヴェントであったように思う。

そんな話はさておいて、次々に運び込まれる大荷物。ゲストが来訪したときに巡回しやすいよう、動線を考慮して全体の配置を考えているにも関わらず、

「わたし、こっちのテーブルの方がいいです!」

とがっちり主張する人もあり、手強い。ともかく、全体の設営が整うまでが肝なので、家中をうろうろと回りながら、適宜調整する。

【総勢140名。収益は8万ルピー強、日本円で約13万円!】

昨年の6月にミューズ・クリエイションを結成して以来、OWC主催のクリスマスバザール、ミューズ主催のクリスマス・チャリティバザール、そして今年2月のジャパン・ハッバ(日本祭り)に次いで、今回は4度目のバザール。拙宅でのミューズ主催のバザールとしては2度目だ。

名目は、慈善団体への寄付金を中心とするミューズ・クリエイションの活動費を集めるための、Fund-raising(資金調達)を主目的としたイヴェントであるが、メンバーにとっては、準備期間の数カ月、紙や布での手工芸品を制作したり、歌の練習をしたりと、楽しみながらのプロセスがあった。

自分たちが作った物を、誰かが喜んで買ってくれる。

自分たちの歌を、誰かが喜んで聞いてくれる。

自分たちが焼いたお菓子を、誰かが喜んで食べてくれる。

しかもそれが、社会貢献に結びついている。

ワンダフルな一石二鳥である。

先週は、水曜日、木曜日の両日もサロン・ド・ミューズをオープンし、多くのメンバーが集って準備に精を出した。当日は、外部ヴェンダーの設営を手伝うためにも、自分たちの準備はすませておこうという作戦である。

あらかじめ、メンバーの業務担当はわたしの方で決めていた。自分のチームの商品を売るのは、なかなかに気がひけるという前回の教訓から、他チームが他チームの商品を「強気で売る」ことにした。また、カフェ・ミューズのウエイトレスや受付、慈善団体のヴェンダーのサポート係など、当日参加のメンバー36人分の配置も、熟慮の末、わたしの方で決めさせてもらったのだった。

なお、現在、ミューズ・クリエイションのメンバーは50名近く。あいにくバンガロールにいらっしゃらない方もあり、バザールには参加できないメンバーが十数名いたが、みなバザール前に、何らかの形で手伝いをしてくれた。

その他、ヴェンダーのスタッフ20名、来訪者85名。合計140名が集い、入場料50ルピーに始まり、さまざまな買い物をして、資金集めに貢献してくださった。

なお、NGO関連のヴェンダーには無料で場所を提供、プライヴェート・ビジネスからは、利益の5%をミューズ・クリエイションに寄付してもらった。結果、上記の通り、8万ルピー超、約13万円もの資金を集めることができた。

前回のチャリティ・クリスマスバザールの際の6万ルピーを上回る数字だ。

資金調達のイヴェントとはいえ、それが最優先事項ではなく、まずは自分たちが楽しむことを大切にしたいと考えている。地域社会との交流、ゲストとの関わり……。バザールを通しては、得られるものが、たくさんあるからだ。とはいえ、やはり、現実に努力の結果が数字となって現れるのは、とてもうれしいものである。

まだまだ「前置き」として書いておきたいことはたくさんあるのだが、そろそろ、写真とともに、当日の出来事をレポートしよう。

【インド人と日本人とでは、時間と空間の感覚が、全く異なるのだ】

インドの人たちの多くは、時空を超越した独自世界を持って生きていると思う。日本人のそれとは、実にかけはなれている。

ということを、この日は改めて、実感した。日々、インド人であるところの夫と、もう十数年にもに亘って、繰り返して続けている「噛み合なさ」。それを、この日も目の当たりにしたのだった。

開場は午前10時。従っては1時間の準備を設けるため、ミューズ・クリエイションのメンバー及びヴェンダー、全員の集合時間を9時と定めていた。

朝、6時半に起床。夫には前日から、

「明日はみんなが8時半から来るから、それまでには身支度を整えておいてね」

と、告知していた。それがたとえ、暖簾に腕押しだとわかっていても。

9時集合とした場合、日本人は早めに到着する可能性がある。一方、夫に9時ごろみなが集まるといえば、軽く30分は、ずれこまれる。それを考慮した上での「8時半」だ。

そして、最初の「ピンポーン!」が鳴ったのが、8時半。渋滞を懸念して早めに家を出てくれたメンバーが到着だ。以降、日本人は続々とやってくる。一方、夫はまだ朝のヨガを終えておらず、シャワーも浴びていない。

「ベッドルームはメンバーの荷物置き場にするから、身支度は8時半までに済ませてって頼んだでしょ?!」

どこまでも、果てしなくマイペースな夫に辟易しつつ、バザールの一日が始まった。

9時を10分ほど回って、ようやく1つのヴェンダーが来訪。以降、だらだらと時間差で、一番遅いところは11時を過ぎて(すでに開場している!)やってくる始末。「渋滞が……」と世間は異口同音に言うが、日本人のメンバーはみな、早めに到着している。時間の読みが甘いだけの話である。

加えて驚いたのが、各ヴェンダーの荷物の多さ! 

自宅で開催すると告げていたにも関わらず、段ボールやら衣装ケースやら、スーツケースやらが大量に運び込まれる。こちらが油断していると、隣のヴェンダーのスペースまで占拠して自分の商品をどっさり並べようとする人もいるから、油断ならない。

メンバーが各店舗の「店開き」を手伝いつつ、どうにか大半は、10時すぎには店舗の準備ができていた。気がする。インド的には。

「カフェ・ミューズ セット」は、コーヒーかティー、そしてケーキという構成。ティーはトゥルシ(ホーリー・ベイジル)やオーガニックのフルーツフレイヴァーなど、数種類を準備した。

お菓子は、メンバーの一人が用意してくれたドライフルーツケーキ(ラッピングもきれい)と、我が家で準備した毎度おなじみカステラ&バナナ・ブレッド。オーガニックの小麦粉や卵、砂糖を用いた、安心素材の素朴なお菓子だ。

カフェ・ミューズのウエイトレスは、ジャイプール発のテキスタイルショップ、SOMAで調達したエプロンを着用。

コーヒーは、前回も販売し、我が家でも愛飲している南インド産アラビカ豆のコーヒー。ここでも幾度か紹介したが、ファミリーフレンドのラナ(コーヒーマイスター)のコーヒーだ。

彼はリタイヤ後、自身で南インドコーヒーの産地、クールグにコーヒー農園を購入。自分の農園や、周辺農園のコーヒー豆から、そのときどきで一番品質の高いものを調達し、自らローストしているのだ。ビジネスというよりは趣味の世界で彼がやっているので、店頭で購入することはできない。個人的にまとめて注文をし、彼の予定に合わせて準備をしてもらっている次第だ。

このコーヒーは日本の家族にも好評なので、ときどき福岡へも送っている。わたしも旅をする際には、必ず携行して飲んでいる。ほっとする、やさしい味なのだ。ちなみにこのコーヒー豆は250グラム250ルピー。ミューズでは200ルピーの卸値で購入し、1袋あたり50ルピーを利益とさせてもらっている。

●MUSE CREATION: チーム紙

ヴァラティ豊かなチーム紙の作品。ギフト用の紙袋は、大量購入した手漉きの紙バッグをデコレーション。ハロウィーンや千代紙や四つ葉のクローバーなど、折り紙で作った多彩な小物を貼り付けてある。

また、ジャパン・ハッバで人気だった漢字入り色紙風などのほか、ペンスタンド、ハンドブロック・プリントのハンカチ、色付けしたディア(素焼きのオイルランプの器)など、カラフルな品揃えだ。

新メンバーの一人が、日本の雑貨店で勤務されていたらしく、ディスプレイが上手で頼もしかった。作品(商品)をよりよく見せるには、ディスプレイに加え、セールストークも、とても大切だということは、これまでのバザールを通して痛感している。「魅せ方」は重要なポイントなのだ。

●MUSE CREATION: チーム布

主にはご自宅で、各自が制作に励んでいるチーム布のメンバー。毎回、持ち寄られる商品を見て、他のメンバーから「わぁ!」「欲しい!」と声が上がる作品がたっぷりだ。実はわたしも、一目で気に入った商品があった。が、メンバーの買い物はランチのあと。売り切れてしまったら諦めるしかない。控えめに、遠くから見守る……。

レース編みのブローチやネックレス、顔つきのかわいいお手玉、各種布袋、ヨガマット入れ、ワインボトルのエプロン(!)など、どれもこれも、本当に魅力的な品揃えである。

●MUSE CREATION: リサイクル品の販売

メンバーが自宅から持ち寄った「コンディションのよい不用品」を集めて販売するコーナー。書籍や衣類、インテリア雑貨などが寄せられた。一見、地味な販売コーナーであるが、この売り上げは、かなり重要なのだ。というのも、あらかじめの準備は不要、経費もかからず、当日売るだけで利益があがるからだ。

つまりは、「販売力」次第で、かなりの利益を上げられる。

今回、メンバーが衣類などを掲げつつ、会場内を巡回しながらの「出前販売」を情熱的にやってくれたことも功を奏し、大半の商品を売ることができた。なお残った商品は、すべて慈善団体への寄付となる。

●BELAKU TRUST

一番に到着したのは、ここから一番離れた村からやってきたNGO。実は彼ら、我が家でのバザールに参加するのは3度目で、前々からとても楽しみにしてくれていたのだ。前回も、そしてミューズ・クリエイションを結成した日に行ったバザールでも、かなりの商品が売れたので、今回も、まさに「山のように」商品を持って来てくれたのだった。

Belaku Trust バンガロール郊外の村に暮らす貧困層女性たちを支援する慈善団体。ハンドブロック・プリンティングをはじめとする手工芸の技術を伝授し、クオリティの高い工芸品を生産している。

●SACRED LOTUS

前回のバザールでも人気だった、非常に着心地のよい素材で作られた衣類を販売するブランド。ヨガなどエクササイズに好適なファッションだ。Beech Tree(ブナの木)の繊維を素材としたもので、わたしは米国在住時にこの繊維を知って以来、気に入っている。前回は、旅の機内で着るのによさそうな、心地のよいロング丈の上着を2枚買った。愛用している。インドには、従来、木綿や絹以外にも、さまざまな天然素材の布があったのだという。

Sacred Lotus 肌触りがよい天然素材のシンプルで着心地のよい衣類。Good Earthでも販売中。

●THIS AND THAT

今回、初出店のテキスタイル・ショップ。わたしの英語の先生のお母様の親友がオーナー。一見、地味な印象なのだが、実は「掘り出し物」の宝庫。TOMMY HILFIGERに卸しているという商品のアウトレットも見られた。綿ガーゼ素材のストールは、肌触りがよく使い勝手がよさそうだ。その他、鍋つかみ、オーヴンミット、ナプキンなどのテーブルリネンも豊富に売られていた。

●VRIKSH - The organic shop -

オーガニックの食品や日用品を扱う専門店が徐々に増えているバンガロール。この店は、ヴァンダー開拓のために、先日、リサーチして見つけた店。このホームページにも、詳細をレポートしている。あのあと店を再訪して、オーナーとサポートをしている写真の二人に会い、バザールで販売してもらう商品を一緒に選んだのだった。彼女たちはまた、オーガニック素材を用いた手づくりのキャロットケーキやチョコレートケーキ、ヴェジタブル・カツレツなども商品として持って来てくれた。素朴で、おいしかった。

Vriksh オーガニック食品や日用品の専門店。坂田お勧めの商品たっぷり! 店舗はマレシュワラムの近くにある。

●Ayurvedagram

このサイトでもしばしばご紹介しているアーユルヴェーダの療養施設、アーユルヴェーダグラム。マネージャーの女性と何度かやりとりをし、ヴェンダーのアプローチ方法を決めた。主には、ドクターの処方なしに購入できる、坂田マルハン家愛用のフェイスクリームやマッサージオイル、咳止めシロップ、ヘアオイル、筋肉痛に効くオイルなど、好みの商品などを販売してもらうことに。

そのほか、アーユルヴェーダグラムの施設紹介や、1日体験コースの案内などもしてもらうことにした。今回、バザール担当に任された左端のお兄さんは、たいへんな張り切りっぷり。前日のメールにも事細かなプランが記されており、その持ち込みの荷物の多さに、少々おののいた。

ポスターだけでなく、プロモーション映像を流すべく、テレビのモニターまでもご持参だ。さらには

「商品をお買い上げのお客様の中から、抽選で3名様に、一日体験コースをプレゼント!」

という企画も提案してくださり、その「抽選くじ」をいれた巨大な壺まで持参。写真右側に、その一部がご覧いただけよう。小さな紙切れが、底の方に入っている。

抽選くじを入れるのに、果たして、人間一人分のスペースをがっつりと取る巨大な壺が必要だったのだろうか。との疑念が脳裏をよぎったが、インド人の「空間に対する考え方」は、日本人とは違うのだ。これでいいのだ。すごく邪魔だけど。と、自分に言い聞かせる。

英語が堪能なメンバーと、先日、一緒に一日体験コースへ出かけたメンバーがサポートをしてくれたお陰で、彼らも非常にいいセールスができたと、大喜びであった。

Ayurvedagram バンガロールの東部郊外、ホワイトフィールドにあるアーユルヴェーダ診療所。我々夫婦は、 4年に亘り、 年末の約1週間をここに滞在し、デトックス&リフレッシュしている。

●One Billion Literates

ミューズ・クリエイション以前にも、そして結成した直後にも、訪問した経験のある貧困層の子どもたちを支援する組織。創業者のアナミカ(インド系米国人)は、諸事情で米国に帰ってしまったが、アナミカのあとを継いだルビー(赤いシャツを着た女性)が運営を続けている。

バザールでは、OBLが支援する公立学校を訪問した経験のあるメンバーの一人が、サポートとしてオリジナルのしおりを販売しつつ、寄付金を募ってくれた。

サポートしたメンバーの積極的な動きも功を奏し、彼らが販売していた手工芸品とは別に、この日、寄付金だけで8000ルピーも集められたと、翌日、感謝のメールが届いた。

OBLの活動は、個人的にも、今後、支援を続けたいと考えている。関心のある方は、ぜひ過去の記事をご覧いただければと思う。

■ミューズ・クリエイション、NGO支援の公立学校訪問。

■貧困層の子らに英語とコンピュータ教育を。

■今月の西日本新聞:激変するインドは「学校」の話題

One Billion Literates バンガロール市内の、環境が整っていない公立学校において、英語教育やコンピュータ教育を実施。現在、約10校400名の生徒たちへ教育をサポート。活動継続のための寄付金を募っている。

●Shepherd Crafts Kashimir

ここもまた、個人的に思い入れのあるヴェンダー。友人のデヴィカが支援する、カシミールの羊飼いの遊牧民女性たちが作る作品を中心に、カシミールのペーパーマシエも販売されている。

昨年の6月、デヴィカが主催する「カシミールの手工芸品を巡る旅」に参加した。その際、州都スリナガールにある、パシュミナやペーパーマシエ、刺繍、クルミ細工など、さまざまな伝統工芸の工房を訪問した。更には、ツアーのあとも彼女に同行し、パハルガム(ペヘルガム)と呼ばれる峡谷の村へ足をのばし、羊飼いの女性たちのもとをも訪ねて来た。

カシミールの麗しき景観、カシミリ・カワティーの香りを懐かしく偲びつつ、彼女とは、近々カシミールの高品質な手工芸品バザールを実施しようと、早くも次の約束をしたのだった。

■ カシミール。手工芸品を巡る1週間の旅へ。(←Click!)

Shepherd Crafts Kashmir カシミールの山岳地帯に暮らす羊飼いの女性たちによる、伝統的な刺繍の技術が生かされた工芸品。バンガロール在住の創業者デヴィカが、自らカシミールの村へ赴き、女性たちに技術を伝授している。

●Arthouse Trust

デヴィカのお姉さん、ラクシュミが運営する、最近立ち上げられたばかりの慈善団体。デヴィカもラクシュミも、現在目まぐるしい発展を遂げているホワイトフィールドに暮らしている。新しい住宅地やオフォスビルディング、ショッピングモールなどが次々に誕生している一方、建築労働者やその家族が暮らすスラムもまた、拡大している。

ラクシュミは、そのスラムに拠点を築き、デヴィカとともに、貧しい女性たちに手工芸の技術を伝授。写真にあるような作品を生産し、販売を開始し始めている。デヴィカはまた、我が家の近くのスラムでも、女性の職業支援を行っていた。そのときの記録は、こちら。

■ リサイクル製品作りでスラムの女性の自立を支援。

Arthouse Trust バンガロール郊外に暮らす貧困層の女性たちに手工芸の技術を伝授し、経済的な自立を支援。リサイクル・アイテムで作られたジュエリーやバッグ、インテリア小物などを制作、販売している。

●Heavenly Jewelry

去年のクリスマスバザールではあいにく予定が合わなかったため、今回の参加を心待ちにしてくれていたパウリン。シンガポール出身の彼女が自らデザインする天然石のジュエリー。利益は100%、孤児院に寄付されている。

実はこの日、チーム歌のメンバーは「黒いトップにジーンズ」で出演することになっていた。黒いトップを選んでいるとき、そうだ、パウリンのヴェンダーでジュエリーを買おうと決め、前夜、彼女のサイトで商品をチェック。

と、 超ビンゴ!! な、好みのネックレスが見つかったため、彼女が出店の準備をしているときに、こっそりと、しかし確実に、購入したのだった。

これは淡水パール。本真珠に比べると、楕円形で表面も荒く、粒ぞろいではないのだが、それがまた味わい深いというもの。白いパールは持っているので、薄いピンク色を選んだ。このほか、シルバーやダークブルー、ブラックなどがあり、どれもすてきだった。

ところで気になるお値段だが、これは2800ルピー。4400円程度である。お手頃でしょ?! わたしが身につけているのを見て買った人もいるので、よい広告塔にもなった。

彼女とも、また別のプロジェクトで一緒にバザールをやろうと画策している。楽しみだ。

Heavenly Jewelry シンガポール出身の女性パウリンが運営。天然石を用いた品質の高いジュエリーを販売。利益は全て、孤児院に寄付されている。

●Jacaranda

北東インド出身のヴィヴィが運営する店。去年はガーデングッズが主だったが、今年はカゴやバッグ類、インテリア雑貨などのほか、ハーブの苗などを販売。空は晴れているが、地面は雨で濡れているので、風情がないが、ブルーシートを敷いての出店だ。

わたしはチーブ(ニラ)の苗を購入した。ぐんぐん育てば、食卓に載せたいところだ。食べられるまで、どれくらいかかるだろう。ヴィヴィはメンバーのためにと、いろいろなハーブティなどを差し入れてくれた。今後、サロン・ド・ミューズのティータイムでお出ししようと思う。

Jacaranda ベッドリネン、ガーデングッズ、ハーブの苗や種子、観葉植物の苗、ハーブティなど。

●Lotus Vibe

そして最後のヴェンダーは、まるでインヴェーダーの如く、商品を四方八方に進出させつつディスプレイしていたヴェンダー。昨年も参加してくれたが、いろいろと要求が多かったので、実は今回は声をかけていなかった。ところが、どこから聞きつけたのか「バザールやるんでしょ? 出店させて!」と電話があり、場所を提供した次第。

ありったけの商品を足の踏み場もないほど広げるため、せっかく坂田が考案した動線が完全にブロックされ、ボーダーと化。彼方の「カシミール世界」までたどり着けない。

坂田自ら、何度もボックスを移動しては、注意を促すのだが、ここでもインド的空間センスが炸裂している。意に介しないらしい。

「お願い、ここには置かないで!」

と、しまいには声を荒げる始末であった。

が、場所を占拠しただけあり、プライヴェートのヴェンダーの中では、一番の売り上げであった。受け取った利益の5%が3, 500ルピーだったので、7万ルピーも売り上げていたことになる。わずか6時間程度で約10万円。……やるなあ。そら、自らの空間センスを貫きたくなるかもしれんな、と今更ながら思う。次回はきちんと「固定されたボーダー付きの場所」を確保して、彼女に提供しようと思う。

Lotus Vibe 個性あるバッグやインテリア小物などのテキスタイル・アイテムのブティク。

以上、各ヴェンダーの紹介であった。長々と書いたが、きちんとレポートを残しておくことは、あらゆる点において役立つし大切なことだと実感しているので、もういい加減疲れてきたが、そしてついには、ワインを飲み始めてしまったが(日曜だもの)、もうひと頑張り、書き続けよう。

【半数は日本人。そしてインド人、OWCのメンバー、ご近所さん】

10時ちょうどに来訪されたゲストを皮切りに、少しずつ、いい感じでゲストの来訪は続いた。一番多いのは11時から1時ごろまでだったろうか。

その後、ランチタイムで少し静かになり、また3時ごろから客足が増えた。今回は、OWCのメンバーにも告知したこともあり、インド在住の外国人の姿も見られた。

言葉を交わしたゲストは、異口同音に、

「こんなすばらしいバザールだとは思わなかった!」

「友達を誘ってくればよかったわ!」

「もっと派手に告知すればよかったのに」

「わたしもジュエリーを作っているの。今度ぜひ販売させて!」

「コリアンのコミュニティにも、もっと声をかけてほしい」

などなど、うれしいコメントをくれた。

隣のアパートメント・ビルディングから来たという女性は、

「なぜ、うちのアパートの掲示板に案内を貼ってくれなかったの? 今、友人から、すごくいいバザールが開かれていると聞いて、慌てて来たんだから!」

と、なぜか「けんか腰」である。いやいや、町内会の活動じゃないんだから、告知する義務はない。ともあれ、いろいろな人がいるものである。

一般にインドにおけるチャリティ・バザールと聞くと、玉石混淆、さほど魅力のない商品が売られている場合もあることから、たとえ派手なチラシを作ったとしても、実態が伝わらないものである。ましてや開催場所が「自宅」とあっては。

しかしながら、ミューズ・クリエイション主催のバザールでは、メンバーの作品以外にも、わたし自身がお勧めできる、クオリティの高い商品を扱う店だけに出店してもらっている。また、ゲストが買い物をしやすいように、さまざまに工夫もしている。しかも歌まで聴ける。

何より、ミューズ・クリエイションのメンバーたちが、多数、歓迎し、サポートし、演出している。すごくいいバザールに、ならないわけがないのである。

今後は口コミで、もっと広まっていけばと思うが、あまりゲストが多すぎても、みながゆっくりと買い物ができないので、ほどほどで、ちょうどよいとも思う。

Muse Choir、即ちチーム歌によるコーラスの披露は、午前と午後の1回ずつ、行った。

1曲目は『ハナミズキ』、2曲目は『風になりたい』、そして最後はゴスペルの『I will follow him』。普段の練習では、高い天井にエコーが響き渡り、自分たちの歌声や演奏もよく聞こえるのだが、これだけ人が多いと、音が吸い込まれ、マイクなしではかなり辛い。

とはいえ、観衆はエンターテインメントを楽しんでくれたようで、拍手喝采、練習の甲斐があったというものである。次回は、OWCのクリスマスバザールでも、ぜひ出演させてもらって歌いたいものだ。ちなみにソプラノは2階、メゾとアルトは1階に立って歌っている。

さて、お待ちかねのランチタイム! ドミノピザの到着だ!

朝が早かったせいか、11時過ぎには、早くもお腹が空いていたので、出前の到着をまちわびていた。ランチの出前注文担当は、前回のバザールでも活躍してくれたメンバー。彼女は普段、会社勤めをしているのだが、この日は休暇をとって参加してくれた。

KFCとドミノピザから、メンバーとヴェンダーのスタッフ向けランチを大量に注文。これがちょうどいい塩梅のヴォリュームであった。彼女はランチの手配以外にも、フットワーク軽く、こまめにいろいろなフォローをしてくれて、大助かりであった。

【ランチのあとは、メンバーもショッピング。これがまた、楽しみ】

ランチの前に、すでにちゃっかりと買い物をすませている人もみられたが(わたしも人のことを言えないが、一応、広告塔だもの)、ランチのあとは、メンバーが交替でのお買い物タイム。

大半のヴェンダーが「現金のみ対応」につき、メンバーには相応の現金をお持ちくださいと伝えていたのだが、早々に、

「買いすぎた〜」

「もうお金がな〜い!」

「貸してあげるよ?」

といった会話が飛び交う。メンバーが買い物をしているときに「掘り出し物」を発見し、ディスプレイを促したりもして、「売る視点」よりも「買う視点」で見ることが実は大切なんだということも学ぶ。

人が買っているのを見て、「わたしも欲しい!」的な衝動が伝播し、みなさんかなりの、お買い物っぷりである。それでも、どれも質がいいものだし、買えば何らかの寄付になるしでノープロブレムだ。

ガーゼ風のストールがとてもよいので、吊るしてディスプレイをした方がいいですよとアドヴァイス。メンバーがセッティングをお手伝い。その後、多くの人が買い求めていた。

黒地のポシェットは、メンバーのひとりが昨年のバザールで購入していた羊飼いの女性の刺繍製品。デヴィカによると、当時は、刺繍を始めたばかりで、技術がまだ覚束なかったのが、今年は右側のバッグのような、緻密な刺繍を手がけるようになったとか。

どちらもそれぞれに、いい味わいなのではあるが、技術の向上が目に見えるのもまた、感慨深い。作り手の様子に思いが馳せられるというのは、心に染み入るものである。

そして、以下はわたしのお買い物商品の数々。

ふふふ。チーム布のメンバーが丹誠を込めて編んでくれたレース編みのネックレスとイアリング。欲しかった品が、午後4時を過ぎても、まだ売れていなかったことから、お買い上げである。うれしい❤

黒ということもあり、地味に思われたのかもしれないが、これがまた、上品でいいのだ。イアリングのお花は、歩いているみたいでかわいいし。本当に気に入ってしまったので、淡水パールを外して早速着用。これは、サリーにも似合いそうだ。とてもいいお買い物をさせていただいた。


【バザール終了後は、会計整理とお片づけ、そして打ち上げ!!】

そろそろ終了を間近にした5時近くになり、雨が降り始めた。なんという、いいタイミングであろう。ヴェンダーたちも徐々に片付けを始め、ミューズ・クリエイションのメンバーも、自分たちの商品の片付けにかかる。

ヴェンダーたちから利益分を受け取り、見送り、そして、「もうひと頑張り」とばかりに、みなで家具の移動などをして我が家の復元作業を行い、会計の整理もすべて完了し、お待ちかねの打ち上げだ。

時間的な都合があり、半数以上のメンバーは帰宅されてしまったが、残ったメンバーだけで、乾杯である。

冷蔵庫から冷えたビールを取り出し、ピザやKFCの残りものや、スナック類などをテーブルに並べ、そしてビールとは果てしなく合わないが、しかし打ち上げのために別に焼いておいたカステラやバナナブレッドもテーブルに並べる。

乾杯のあとは、アーユルヴェーダグラムの1日体験コースの抽選式。実は、3つあった賞品のうち、くじをひいて当てたのは1名だけだったので、メンバーで使って欲しいとアーユルヴェーダグラムのスタッフからギフト券を受け取っていたのだ。

ジャンケンを勝ち抜いたメンバーが、晴れて賞品(4000ルピー相当)をゲット。大喜びである。ちなみにマイハニーが贈呈してくれた。夫はこの日、早めに3時半ごろ帰宅し、バザールの見学をしたり、ヴェンダーのスタッフと言葉を交わしたりしていたのだった。

ところで、帰宅直後の夫。わたしの顔を見るなり、

「美穂、髪をおろして! 顔が真ん丸で、満月状態だ! 見苦しい」

などと言うものだから、くそ忙しい最中に、軽い夫婦喧嘩が勃発した次第。暑いし邪魔だし、髪などおろしていられないのである。今日のわたしは、裏方なのだ。そしてこんな話は、多分どうでもいいのだ。

賞品贈呈のあとは、本日の売り上げ(利益)の発表会。予想を超える成果に、一同、大歓声、大感激、自画自賛状態だ。

お気づきの方もあるかと思う。黒い服を来た人が多いことに。そう、残ったメンバーの大半は、チーム歌である。チーム歌のメンバー、宴会ごとは、決して逃さないのである。それはメンバーが入れ替わっても変わらぬ傾向だ。面白い。

やがて、一人、二人と帰宅する中、本当にチーム歌のメンバーのみが、最後に残った。

実は今日を最後に、来週、日本へ帰任するメンバーもいらっしゃり、途中からはお別れ会状態。いつのまにか、わたしはくだけた格好に着替え、夫があまりにもうるさいので今更だが髪を下ろし、ようやくリラックスである。

と、思ったのも束の間、「歌おうよ!」の声が上がって、自分たちのためだけのコンサートが始まった。いや、正確には、我が夫が唯一の聴衆となって。

最早、何曲歌ったのか覚えていないほど、いろいろ歌った。過去の歌も歌った。どこまで体力勝負の一日なのか、というくらいに。

“Oh Happy Day”も熱唱した。この歌を知っているメンバーは半数を切っていたが、それでもなんとなく、いい感じで合唱ができた。すばらしい。

我が夫はといえば、”I will follow him”を歌った我々に対して、

「himを「神」ではなく、「夫」だと思って歌ったらどう?」と、発言。まったく考えもしなかったが、もしもhimを夫だと想定すると、すごい曲になるな。と、感心する。が、ラヴすぎて強烈。

I will follow him,

Follow him where ever he may go

And near him I always will be,

For nothing can keep me away;

He is my destiny.


I will follow him.

Ever since he touched my heart I knew

There isn't an ocean too deep,

A mountain so high it can keep,

Keep me away,


Away from his love


I love him, I love him, I love him

And where he goes I'll follow,

I'll follow, I'll follow


I will follow him,

Follow him where ever he may go

There isn't an ocean too deep,

A mountain so high it can keep,

Keep me away.


We will follow him,

Follow him where ever he may go.

There isn't an ocean too deep,

A mountain so high it can keep,

Keep us away,

Away from his love


oh yes oh yes I love him;  I'm gonna follow.

True love, he'll always be my true love

Forever, from now until forever.


I love him, I love him, I love him

And where he goes I'll follow,

I'll follow, I'll follow.


He'll always be my true love, my true love,

My true love from now until forever, Forever, forever.


There isn't an ocean too deep,

A mountain so high it can keep, keep us away, Away from his love.