坂田マルハン美穂のインド生活通信

 
 

かくなる次第で、無事に長い一日を終えることができたのだった。こういうイヴェントに関わると、短時間に大勢の人々との交流を図ることになり、いろいろと学ばされることが多い。

細かなことはさておき、一つだけ、今後の課題として関係者にもお伝えしておきたいことを記しておく。このイヴェント、毎年、規模も拡大し、多くの人々の協力、協賛を得て、実施されている。

そのようなことを思うとき、たとえば午後のプログラムをとっても、まずは観衆が楽しむことを最優先に考えてプランを立てるべきだと思う。毎年プログラムが長丁場となり、後半、観客がまばらというのは、出演者にとっても失礼なことであるし、歯切れも悪い。

今年は、出演者のパフォーマンスの内容もヴァラエティ豊かで、出演の順序もうまく考えられていたことから、観客も途中で息切れすることなく、終盤まで楽しんでもらえたのはよかった。

随時、ステージの脇から観客席の様子を確認していたのだが、1階席も2階席も、大勢の人たちが座っている様子を見られて、とてもうれしかった。

だからこそ、最後が残念であった。閉会式が長々と続き、そのあとに行われた締めくくりの「盆踊り」の際には、関係者以外、ほとんど会場に残っていなかったのだ。これは、進行に問題があったと思う。

閉会式の前に、踊りなり、歌なり、会場全体で盛り上がって一旦終了し、その後、どうしても必要であれば、関係者向けの閉会式を行うべきだっただろう。

日印双方のスタッフが準備を重ねてのプログラムであることも承知した上で、あくまでも部外者の意見として書き留めておく。

ともあれ、今回もまた、いい経験をさせてもらった。

関係者のみなさま、本当に、お疲れさまでした。

会場がオープンするや、たちまち人だかりができた着付けコーナー。このあたりだけ、気温が数度高く、亜熱帯状態であった。サポートしていた方、かなりの体力仕事であったと見受けられる。お疲れさま。

日本のアニメーションの底力を見せつけられる思いがした、バンガロール・アニメクラブによるコスプレショー。「ブリーチ」「なると」からの楽曲をライヴで演奏しつつのショーで、ともかくは、強烈だった。バンガロール・アニメクラブには、約1000人ものメンバーがいるらしい。インドに限らず、世界中に多数存在する日本のアニメファン。日本はこの線から、国際交流に攻め入るべきではなかろうか、と思えるほどの、強烈かつ強靭なネットワーク及び影響力だということを、再確認させられる出しものであった。

昨年のジャパン・ハッバで、意外にも「セールス上手」な一面を見せてくれた我が夫。今年も「売り子経験者」として活躍してもらうべく、手伝いを頼んだ。いらっしゃいませエプロンと九州男児Tシャツで、服装も準備万端。

インド各地の伝統的な衣装を着用してのファッションショー。インドの多様性を視覚的に確認できて興味深いパフォーマンスだった。

●土曜日は、リハーサル。のっけから、すてきインド的展開。

前日の土曜日、舞台リハーサルのため、会場を訪れた。今回は、これまでとは異なり、市街中心部にあるマウントカーメル大学(女子大)だ。キャンバスに入るなり、華やいだ雰囲気に包まれ、自らの女子大生時代を思い出す。

いいな~大学生。と軽やかな気分で講堂に入る。案の定、打ち合わせのスタッフはまだ全員揃っていないので、会場の様子を眺めていたところ、一隅にひっそりと置かれたピアノに目に留まった。

「うわっ」と、思わず声を上げてしまう。

埃被った分厚い布がかけられたピアノ。非常にいやな予感がする。会場にアップライトピアノがあるので、ミューズ・クワイアの演奏もそれを使えばよいと言われていたのだが……。

いや〜な期待に胸を膨らませつつ、その薄汚いカヴァーをめくったところ……。

ひ~っ。布がかけられていてなお、埃だらけの、とてつもなく古いピアノ! 

蓋を開けた次の瞬間、「嫌な予感」を裏切らない事態に、思わず笑いがこみ上げて来た。

鍵盤を叩けば、ぷるぷると震える頼りない音色。過去を演出するドラマのBGMなどに使えそうな、むしろ味わい深い音だ。もちろん、音程は随所ではずれ、さらには一部、はずれかけた鍵盤すらある。

明日は、バンガロール在住の日本人ピアニストによる演奏もあるはずだが……これで弾くのか?! ないない。ないないない。

インド。のっけから、とてもインド的な展開に、最早、清々しい思いだ。なぜ前日まで誰も気がつかないのか。なぜ他のピアノを手配しないのか。そんなことは、問うも虚し。

これからできることを考える。それが、インド。その後、他のスタッフやヴォランティアたちが次々に登場。

結局、その場で、レンタルピアノの会社を知る人が電話で手配をし、当日の朝、配達してくれるよう便宜を図ってくれたのだった。


●そして当日。まずは午前の部。ミューズのヴェンダーも賑やかに。

当日は朝6時起床。ご飯を炊いて、おにぎりを作り、準備を整え会場へ。毎度「遅れがち」な夫を、毎度せかしつつ9時集合の会場に9時丁度に到着すれば、案の定、すでにミューズ・クリエイションのメンバーの多数は到着しており、ブースの準備を始めている。

今回は4つのテーブルを借りている。2つのテーブルで紙と布製品の販売。残り2つのテーブルで、折り紙やお手玉、書道などのデモンストレーションを行う。

他のバザールとは異なり、このイヴェントは日印文化交流の色合いが濃いので、利益を求めるよりも、日本に関心を持つゲストとメンバーとの交流を図ってもらうことが大切だと考えた。

今回、参加できるミューズ・クリエイションのメンバーの多くが、着付けや茶道など他のデモンストレーションの手伝いをすることから、ヴェンダーの担当者が少なめだったが、メンバーのご子息やその友人らが手伝ってくれることになり、それが結果的にはとてもよかった。

諸々の準備をしていると、ジャパン・ハッバのインド人スタッフから「ピアノが届きましたので来てください」と声がかかる。担当者がまだ到着していなかったので会場へと向かうと、驚くべきことに、時間通りにピアノが到着している! 

うれしくなって、早速マネージャーと名刺交換だ。

鍵盤を叩けば、ちゃんとしっかりしたピアノの音が出る。当たり前のことが、とてもうれしい。あのすさまじいアンティークピアノに比べれば、ピアノのメーカーなど最早、関係ない。ちゃんと音が出てくれればそれでいいという、ハードルの極めて低い世界だ。

マネージャー氏は同時に調律師でもあるらしく、運び入れたあと、1時間以上に亘って熱心に、調律してくれたのだった。プロフェッショナルなピアニストにとっては不満の音かもしれないが、素人のわたしの耳には、十分な音に仕上がっていた。よかった。

なんにつけても、インドでは、柔軟性や臨機応変な姿勢が重要であると実感する。そしてそれをうまく操るためにはもちろん、運任せではなく、個人的な経験や、あらかじめの準備も大切なのだということも。

さて、午前中の会場の様子は、以下、写真を中心に記録を残しておく。

メンバーのご子息やその友人、またバンガロールでインターンをしている学生の手伝いもあって、売り場は一段と「若々しく」賑やかに。

チーム布、チーム紙の作品は4つのテーブルの端と端に陳列。今回もまた、すてきな出来映えの商品が麗しくディスプレイされている。

趣向が凝らされたディスプレイ。メンバーの入れ替わりの激しいミューズ・クリエイションにあって、少しずつ、過去の経験が引き継がれ、改善され、向上しているところがすばらしいと、いつも思う。ちなみに「忍者ハットリ君」は、久しくインドで人気の高いアニメーションのひとつである。故に手裏剣も販売。

書道をたしなむメンバーが、あらかじめ用意しておいた白紙のしおりに、希望者の名前を書いて販売。漢和辞典を引きつつ、なるたけいい感じの「当て字」を探す。

商品の詳細に関する説明について余念のない夫。今回はローカルの人々が対象ということもあり、全体に値段設定を低めにしていたところ、「どうして、もっと高い値段をつけないんだ、安すぎる!」「こんなハイクオリティの商品は、10倍の値段でも売れる!」(←大げさ)と、しきりに憤慨なさっていた。

最初はシャイで控えめだった子供軍団も、徐々に場に慣れ、積極的に販売を手伝ってくれたり、折り紙のデモンストレーションを始めてくれたりして、とてもいい感じ。インドの子どもたちも、折り紙に興味津々の様子だった。

写真ではわかりにくいが、これはチーム布のメンバーがお手玉を披露しているの図。一見、大人(おやじ?)に見えるが、実はまだあどけないインド人少年らが、喜々としてお手玉に興じている光景。非常に楽しそうである。かわいい。

こちらは、書道の体験コーナー。子供も大人も真剣に取り組んでいる。

日本語を学んでいて、書道の経験がある人たちも見られた。一方、初めての人は、絵を描くように文字を「塗っている」人もいて、最早、書道ではない。ともあれ、みな楽しそうだ。

さて、こちらはオープン前の着物着付けコーナー。このコーナーは毎年「コスプレを楽しみたい女子」で大盛況となる。ミューズ・クリエイションのメンバーが多数。お茶のコーナーでも同様だ。ミューズ・クリエイションに参加している人たちは、いろいろと活動の幅が広いのだなと、改めて思った。

茶道のコーナーも大人気。二人とも、春を思わせる着物がとてもお似合い。

マンガロールで自家製の味噌や麦茶、そして関孫六(貝印)の包丁などを販売している業者も出店されていた。添加物の入っていいない味噌が非常においしかったので買った。配送もしてくれるということで、これからは味噌もインド産でノープロブレム。今日、早速、味付けに使ってみたが、料理がおいしく仕上がった。 ちなみに我が愛用の包丁は、京都の「有次」が2本と、この関孫六が1本である。
JAPCUL STYLE

「センセイ! シャシン、トッテクダサイ!」と日本語を学ぶ男子ら。ヘナ(薬草)で漢字のタトゥ(メヘンディ)を入れてもらったらしい。印日。幸運。神。

毎年、会場を華やかに彩る小原流の生け花も見られた。ファミリーフレンド、ディピカ師匠の作品もあった。

感激したのはこのマグノリア。大好きな花のひとつ。バンガロールでマグノリアが咲いているとは。我が家の庭にも植えたい。むやみやたらと伸び放題のヤシの木のかわりに。

夫にカメラの使い方を教えつつ(知らんのか、という話だ)の1枚。一昨年、司会をしたときには、自分の映った写真がわずか1枚、人々に埋もれているものしかなかったので、今年は「ちゃんと撮ってね」と頼んだのだった。そして1つめのおにぎりを食べるのであった。なにしろ、このあとは休むまもなく司会なのだ。

●ヴァラエティ豊かなパフォーマンスで賑わう午後のステージ

午前中のブース販売及びデモンストレーションは正午まで。それからは上階の講堂にて、プログラムの開始だ。わたしは11時半には更衣室へと赴き、サリーに着替えて司会の準備をする。本当なら着物を着るべきところだが、持っていないし、着ることもできないので、サリーである。

ちなみに今年のジャパン・ハッバのテーマは「達磨(だるま)」につき、達磨にちなんで赤いサリーを選んだ。ひところ気に入ってよく着用していたパルーシー(ゾロアスター教徒)の伝統的な刺繍が施されたサリーだ。なお右の女性は、英語の司会者で、実行委員のプリートさん。

今年のプログラムは、約20のパフォーマー(グループ)が出演する。間を空けず、観客が退屈することなく、プログラムを速やかに進行させること。それが我がテーマであった。

なにしろ5時間以上に亘る長丁場。毎年、途中で帰る人が多く、それでは、後半の出演者にとっても申し訳ないというものだ。第一、司会をしている自分も、残念な気分になってしまう。最後まで、みなが気持ちよく楽しめるイヴェントであってほしい。

先週の打ち合わせの際、一昨年の教訓をもとに、裏方スタッフの拡充と、音響スタッフとのコミュニケーションの強化をお願いしていた。特に出演者の準備がなかなか整わず、最終的には出演の順序がハチャメチャになってしまった経験を踏まえ、出演者への連絡、コーディネーションを徹底することを強調した。

今回、ミューズ・クリエイションのメンバーでもある友人しのさんや、バンガロールの合唱団ロイヤルエコーのメンバー、またインターンの学生らがヴォランティアとして裏方をサポートしてくれ、結果的には非常に速やかに、進行することができたのだった。

更に言えば、このマウントカーメル大学の講堂専属の舞台・音響スタッフがすばらしかった。日本では当然だと思われることが、インドではなかなか徹底しないのが常だが、この音響スタッフはとても的確に動いてくれた。

リハーサル時に全体の流れを把握していたとはいえ、当日は「忘れてる?」というのが普通のインドにあって、きちんと覚えてくれている。更には、急な変更やこちらのリクエストにも、即座に応じてくれる。

途中、舞台にゴミが散らばったり、余計なものが残されているのをみて、「すぐに片付けて!」と、つい急かしてしまっても、速やかに動いてくれて助かった。最後にお礼を言うタイミングを逸したのが心残り。菓子折りでも差し入れたいくらいであった。

イヴェントとは、ともかく裏方の動きが「肝」となる。そういう意味で、今年はストレスが非常に少なかったことを書き添えておきたい。

さて、なんだか締めくくった感じになってしまったが、以下、夫が撮影していた写真の中から、代表的なパフォーマンスをご紹介したい。

首都ニューデリーからわざわざ駆けつけてくださった和太鼓チームのメンバー。このパフォーマンスがプログラムの幕開けだ。盛大な鼓動に会場が盛り上がる! 

先ほど、この和太鼓チームの演奏の様子がYOUTUBEにアップロードされていた。迫力満点の演奏! 最後に、わたしがインタヴューをするところも映されているので、ぜひご覧いただければと思う。

毎年参加しているトヨタ工業技術学校 (TTTI)の生徒たちによるパフォーマンス。

柔道&剣道の実技。

バンガロール補習校の子どもたちによる、よさこいダンス。かわいい!

ミューズ・クワイアのコーラス。坂田もすたたたっと着替えて、さりげなく出演。

さりげなく、ウーピー・ゴールドバーグ降臨して、OH HAPPY DAY! を熱唱。

プロフェッショナルなダンサーによる、インド四大古典舞踊のひとつで、北インドを代表する踊り、カタックダンスが披露された。見応えあり!!

バンガロールの混声合唱団、ロイヤルエコーの合唱。

おにぎり食べて、すたたたたっと着替えて、再び舞台へ。ロイヤルエコーの創始者でもある大神のりえさんからのひとこと。ロイヤルエコーは今年で15周年を迎えることから、来月3月30日に、記念コンサートが開催される。そのアナウンスを。

かわいすぎる子供のボリウッドダンサーズ。質問にも、なにかと照れる様子がまたかわいい。

毎年、会場を賑わせるボリウッド・ダンサーズ。夫が張り切って撮影したせいか、やたらたくさん写真が残されていた。衣装はボリウッド映画の女優たちが着ている服装に着想を得て、地元のテイラーで仕立てたものだとか。艶やかですてき。

なんだかんだで、無事、時間よりも少々早めに終了! 閉会式のあとは、本日最後の着替えを終えて振り出しの服装に戻り、夫と二人でSUNNY’Sへ。よく冷えたビールで乾杯! 1週間ぶりのアルコールがたちまち五臓六腑にしみわたり、どっと睡魔に襲われる。が、しっかりと食事をし、長い一日を締めくくったのだった。

ジャパン・ハッバの様子が、本日の新聞に紹介されていた。またローカルのテレビ局でも報道されていた。わたしは映っていないが、ミューズ・クリエイションの売り場がちらっと登場。

閉会式の様子。わたし以外は、実行委員の皆様方。お疲れさまでした。

ミューズ・クワイア&他チームからの助っ人のみなさま、お疲れさまでした!

ボリウッドダンスの動画もアップされていたので、シェアさせていただきます。画面をクリックして、躍動的なダンスをご覧ください! それにしても息切れしている部長に容赦なく質問を浴びせる我。昔から「口調がきつい」と言われてきたが、今更納得。夫から「政治家に詰問するのに向いている」と言われた。ひ〜っ。

画面をクリックすると、動画を見られます。