坂田マルハン美穂のインド生活通信

 
 

ここで紹介しているものはいずれも、日常的な、廉価で入手できるものばかりだ。このような手づくり品がインドに残る背景には、マハトマ・ガンディの思想が深く根付いており、各種セミナーなどでも必ず触れることである。

ともあれ、今日のところは、このへんにしておこうと思う。

まずは布の印刷に関する簡単なレクチャーを行う。

シブが今から20年前に作ったというシルクスクリーンの説明を受ける。このスクリーン、作ること自体はさほど難しくはなさそうだ。小中学校で図画工作の授業を経験している日本人なら、多分問題なく作れると思う。

シブがテキスタイルビジネスをやっていたころ、英国のトラッドファッション・ブランドであるDAKSから発注されて作っていたというテーブルリネンのサンプル。

こちらはハンドブロック・プリンティングのサリー。インドに住む人なら、ANOKHIやSOMA、FABINDIAなどのテキスタイルショップで見慣れているであろうハンドブロックの布だが、製造工程の写真などを見た後に布を見ると、その手間のかかる作業に対しての敬意がわく。

本当は天然の染料が欲しくて、前回のデリー訪問の際にあちこちを探してみたのだが、結局、見つからなかった。ともあれ、これらはバンガロールでなかなか見つからないらしいので、デリーで購入した次第。

シブの手づくりスクリーンで、スクリーン印刷の練習。スクイージー(ヘラ)は、窓ふきのワイパーで代用ノープロブレム。絵の具のむらさえ気をつけつつ、インク量などのコツを掴めば、いい感じで仕上がる。

今度は4色刷りのデモンストレーション。まずは右側の花に青いインクを。

色が混じり合わないように、左側の花を黄色に。

上の花びらはオレンジに。

メンバーも初めての挑戦。

出来上がり! とてもすてきなデザイン。

このバラのパターンもすてき。個人的にこちらが好み! メンバーのみんながそれぞれに、あれこれと試したあと、わたくしもトライ。

練習用に発掘しておいた無地の古いピローカヴァー。それがこんなにかわいらしくなりました! オリジナルのスクリーンを作りたくなった!!

1時間半の講習後、帰宅するシブを見送りつつ、練習を楽しむメンバー。

「練習用の木綿の無地の布」と言えば、インドでは高級ホテルに備え付けられているランドリー袋。インドのこういうところ、昔から今に至るまで、「エコロジカル」なのだ。やたらと華やかになるランドリー袋の数々。右下の写真は、大胆に白い短パンにプリントをされた方のもの。象さん、いい感じでかわいい。象の親子もかわいい。ちなみにこれらの木版は、先日のデリー、カーンマーケットで購入したもの。本当に、すてきなデザインがいろいろあって、よかった。

プリントしたものは、3日ほど外に干したあと、裏側からアイロンをかけて色を定着させる。

というわけで、デモンストレーションが楽しい講習であった。作業そのものはとても簡単なので、今後はバザール販売用の紙や布などの作品作りに積極的に生かせればとも思う。

スクリーンの作り方も、シブが改めて教えてくれるというので、ミューズ・クリエイションオリジナルの版を作れたらなと思う。小さめの版を作っておけば、小物類にもプリントできて楽しそうだ。

こうして外部からの人たちのアイデアをいただけるのも、非常にいいものである。またこのような機会を設けることができればと思う。

以下、参考までに、今日は自宅にあるサリーやテーブルクロス、衣類に見られるハンドブロック・プリンティングのサンプルを掲載しておく。

移住当初、バンガロール市内のアートスクールで開催された展示会で購入したジャイプール発のサリー。シルクに天然の染料でハンドブロック・プリンティングが施されている。オーソドックスだが上品で気に入っている

ボディの部分が黒地で、引き締まった印象。これはもともとベージュのシルクのサリーに、黒と赤のインクで染めたもの。

写真ではわかりにくいが、「カレー色」のサリー。これもシルク。

これはジャイプール発のテキスタイルショップのSOMAで購入したサリー。

以下の写真は、ほとんどがANOKHIやSOMAで購入したテーブルクロスの数化す。移住当初に購入した古いものも紛れているので、色あせているが、雰囲気は掴めるかと思う。

下は、手紡ぎ手織りの綿、すなわちカディ (KHADI)に天然の染料で染められたナチュラル感あふれるテキスタイル。とても気に入っているもの。

下のブルーのサリーは、バンドブロック・プリンティングでデザインされた綿と絹の混紡のサリーに、チカンカリ刺繍が施されたもの。

以下は、洋服やストールなど。インドに住んでいると、このような手染め、手織りなど、手工芸によるテキスタイルが本当に身近になる。