インド百景。
インド百景。
坂田マルハン美穂のインド生活通信
バンガロールでは今、2年ぶりにDASTKARのネイチャーバザールが開催されている。インドの職人たちによって育まれた手工芸品と、我々消費者を結びつけるバザールだ。
DASTKARは数年前、デリーに拠点を得たことから、昨年はバンガロールでの開催はなかった。従ってはデリーを訪れた際に、訪れてはいたのだが、毎回、出店者が異なることもあり、昨日は母を伴い出かけたのだった。
インドに移住して以来、毎年楽しみにしていたこのバザールは、各地で行われる大小の展示会とは少々異なる魅力がある。その魅力の源は、DASTKARの創始者であり、現在もDASTKARの顔として活躍する女性、ライラ・ティヤブジの存在だ。彼女は、約30年前にDASTKARを立ち上げた。当時の仲間たちは、その後、それぞれに、別の道を歩き始めたが、彼女は一人、自らグジャラート地方のカッチなどに長期滞在して職人たちと共に働き、指導をするなど、根気づよい体験を経て、DASTKARを育んできた。その経緯が、数日前の経済誌mintに記されている。非常に興味深い記事なので、リンクを下にはっておく。
愉しきネイチャー・バザール by DASTKAR
12-Aug-2014
手紡ぎ、手織りの絹のストール。異なる種類の絹を、縦糸緯糸で用いた混紡で、それぞれに異なる風合いが魅力的。どれも欲しくなるが、もう、ストール類は十分にあるので、我慢我慢。
カンタ刺繍のストールも、シンプルで小洒落たものが見られた。
というわけで、このバザール、今週末まで開催されているので、バンガロール在住の方、ぜひ足を運ばれてはいかがかと思う。ゆっくりと時間をかけて巡れば、すてきな商品に巡り会えるはず。
■自称サリー大使。熟考の末、マスターピースを求む。 (←Click!)
ところで1カ月前より我が家に住み着いた半野良猫のNORA。こうして塀を渡り、屋根に登ったり、よその敷地に旅立ったり、自由気ままである。ゆえに、外の猫たちとの交流も多いことから、避妊手術を受けさせることにした。
本来なら、12時間の断食ののち、手術を受け、その日のうちに引き取れるのだが、なにしろ半野良。昨夜、預けに行き、今朝、手術を受けた。4、5日病院で安静にしたあと、土曜日の夜に引き取りにいく予定。
あまり溺愛しないように、適度な距離を保っておこう……などと思いつつも、わずか1カ月で、最早大切な家族の一員のよう。なにしろ、夫がたいへん、かわいがっている。このごろは、夜のテレビもほとんど見ず、夕食後は庭でNORAとともに、テニスボール遊び、をしている。
客観的に見て、どっちが遊んでもらっているのかわからない状況ではあるが、楽しそうである。
子どものころに犬を飼っていたこともあり、犬を望んでいた彼だったが、偶然にも猫の飼い主となり、それはそれで、愛情を注ぎまくっている様子。いろいろと、面白い。
わたしは子供のときにセキセイインコを飼っていたのだが、かなり悲惨な喪い方(近所の子供に、わざと踏まれた)をして以来、ペットは絶対に飼わないと子供心に決めていた。手のりのインコを連れ歩いていた自分自身の責任だということをわかっていたので、それがまた、なおさら辛かった。
小さな小鳥でさえ、あれほどショックだったのだから、猫や犬などの「大物」を喪った時のことを考えると、たまらないと思ったのだ。
が、そんなわたしもすでに十分、大人となり。すでに父親を喪ってもおり。ペットを喪った時のことを憂いて飼わないのは残念なことではある。というわけで、気持ちもいつしか、大人である。
今頃は病院でしょんぼりとしているであろうNORAを思いつつ、土曜日までがんばってほしいものである。
■Laila Tyabji | The crafts revivalist (←Click!)
会場内の写真を撮ってきたので、ここで一部を紹介しつつ、簡単にキャプションを添えておく。まず、入ってすぐのところにあるブースで、早くも気持ちが盛り上がる。
先日、市内のブティック、シナモンで購入したイカット(絣:かすり)を使ったブランドの店が出ていたのだ。これはアンドラ・プラデーシュ州産の木綿の絣を使った商品。肌触りよく、着心地もよく、わたしはとても気に入っているのだが……。
夫が「寝間着みたいだ」と言って拒絶するので、夫の前では着られない。こういう「ナチュラル系」のファッション、着こなしがなかなかに難しい。とはいえ、一応、わたしが購入していたものの写真も、下に転載しておく。
正方形のスカーフもまた、かわいいのだ。伝統的な絣の味わいが、モダンなデザインに生かされている、よき一例だと思う。
手漉きの紙で作られた、さまざまなカードやノートなど、お土産にもよさそうな文具類。
こちらは、オリッサ州のイカット(絣)。忘れもしない、数年前のDASTKARの会場で出合ったイカットのサリーこそが、わがサリーコレクションの中で、最も貴重な一枚だ。あのときは、ずい分、悩んだものである。が、あのサリーの購入を契機に、その後、日本に帰省したときに久留米絣の故郷を訪れたりして、いろいろと楽しい経験ができた。あのサリーとの出会いは、まさに一期一会であった。
カラフルな刺繍が施された革製のバッグ。
天然木、天然染料で作られた安心の玩具。これはカルナータカ州産。
ラグ類も豊富。サンタフェ・スタイルとよく似ている。
ここでもハンドブロック・プリンティングの木版がたくさん売られていた。年初のデリーで大量購入してきた木版、活用せねば!
こちらのハンドブロック・プリンティングのテキスタイルは、とてもすてきだった。もちろん天然染料による染色。中でもシルクのものが、肌触りもよく、見た感じも、とても上品で……。
落ち着いた藍、赤、そして黒の組み合わせがすてき。母に似合っていたので購入。自分も買おうかと思ったが……。普段あまり使わないので、やはり今回は保留。
インドに暮らし始めてからは、化繊の衣類をほとんど着なくなった。天然素材を着慣れると、化繊が肌に苦しく、本当に着心地が悪く感じるのだ。肌に心地いい物を身につけていると、それだけで気持ちまでほっとするというものである。
ニューヨークのフリーマーケットなどで見かけるような、ペーパーマシエのアクセサリーを売る店も。
今回は、イカットのテキスタイルを扱う店が多かった。この店もアンドラ・プラデーシュのイカットを販売。
幾度となく訪れているバザールにつき、すでに見慣れている商品も数多く。すでに使い慣れているマニプールの鍋を、顔なじみのお姉さんの店で購入したり、ナチュラルなハーバルの石鹸をまとめ買いしたり、ピンポイントでの買い物にも慣れ、楽しくも実践的なショッピングである。