病気になりにくい心身作りを目指す「予防の医学」
アーユルヴェーダとは、5,000年以上前からインドに伝わる医学で、サンスクリット語のアーユス(生命、長寿)とヴェーダ(科学、知恵)がその語源。人間を精神面、肉体面からホリスティック(総合的)に捉えつつ、健康的な状態に導きます。
アーユルヴェーダによると、宇宙の万物は、空気、風、火、水、地の五大元素から構成されており、それは人間の身体にも応用されるとのこと。元素の2つずつが組み合わされ、大きく3つに分類されたものを「ドーシャ」と呼び、人間の体質をドーシャに従って分類。
ヴァータ(空気、風)、ピッタ(火・水)、カファ(水・地)の3つのドーシャが正しいバランスを保っているときが、健康な状態とされます。
ドクターからの問診、触診、脈診を受けたあと、下記の項目に沿ったアドバイスが施されます。
●ライフスタイル(食生活など)の改善
●エクササイズの習慣
●薬やマッサージによる療法
南インドのケララ州が アーユルヴェーダの発祥の地で、多くの診療所や関連施設があります。
最近では、診療所よりアップグレードしたスパ感覚のサロンも増加。アーユルヴェーダの専門医が常駐するスパを備えた高級ホテルもあり、旅行者でも気軽にトリートメントを受けられるようになりました。
アーユルヴェーダのトリートメント
アーユルヴェーダといえば、日本では額にオイルを垂らすシロダラ (Shirodhara) がよく知られていますが、実際には何十種類もの治療法があります。
最も一般的なマッサージは、アビヤンガム (Abhyangam) と呼ばれるもの。まずヘッドマッサージを受けたあと、ベッドに横たわります。二人の施術師が左右に立ち、上半身から足先までを、オイルをすり込むようにくまなくマッサージを施します。
その動きは、「材木にカンナをかける大工の姿」によく似ており、身体の上から下へ、下から上へとかなりのスピードで何度も往復します。 やさしくマッサージというよりは、 身体の筋肉をほぐし、リンパを刺激し、オイルを肌から体内に浸透させる感じです。
身体よりも精神疲労が重なっているときには、シロダラが効果的。額全体に、温かいオイルを少しずつ、たらたらと垂らし続けるもので、神経が深くリラックスさせる効果があります。
シロダラは非常に効果が高い治療法ですが、刺激が強いのも特徴。アーユルヴェーダのオイルに身体がなじんでいない人がいきなり受けることは勧められていません。ドクターの指示を仰いで、何度かボディマッサージを受けたあと、後半のトリートメントとして受けることをお勧めします。
このほか、リラックス効果の高いトリートメントにピッチリ (Pizhichili) があげられます。オイルバスとも呼ばれるもので、温められたオイルを、水差しのようなものに入れ、じわじわと全身に垂らします。ほどよい温かさのオイルをたらたらと身体にかけられる心地よさは、筆舌に尽くし難いほどです。
適切なトリートメントを受けるためにも、まずは信頼のおけるドクターから診察(問診、脈診、触診)を受けることが肝要。体質を分析してもらい、自分のドーシャを知ることが大切です。体質に合った生活習慣や食生活のアドヴァイスを受けた上で、マッサージなどのトリートメントを受けたり、薬を処方してもらいましょう。アーユルヴェーダの薬は副作用がないため、サプリメントの感覚で摂取できるのも魅力です。
★毎年、年末年始、我々夫婦が滞在しているバンガロール郊外にあるアーユルヴェーダグラム(ヘルスリゾート)に関する日本語のブックレットを作成しています。ご興味のある方は、坂田までお問い合わせください。ファイルを送信いたします。