BANGALORE GUIDEBOOK バンガロール・ガイドブック

08. AKSHAYA PATRA


バンガロールにあるイスコン寺院が母体の、世界最大の給食センター。「アクシャヤ・パトラ」とはヒンドゥの神話に出てくるモチーフで、サンスクリット語で「無尽蔵の器」を意味する。インドのと公立学校(Government School)は、州によっても事情は異なるが、設備や教育施設が整っていないところが多数ある。給食がないのは、まだまだ序の口。小さな校舎はあれど、トイレ(特に女子トイレ)がない、教師が来ない、来ても教育方法を会得していないといった、基礎的な部分が不全であるケースも多々ある。2010年4月より、ようやくRTE (The Right of Children to Free and Compulsory Education ACT)法、すなわち「無償義務教育法に関する子どもの権利法」が導入されて、徐々に教育の現場は改善されつつある。少しでも公立学校の環境を整えるべく、インド全国で無償の給食を提供し続けているのが、アクシャヤ・パトラ財団だ。なお、同団体は「第21回日経アジア賞」(2016年)を受賞したことで、日本人にも少なからず知られている。


坂田が新聞記事の執筆に向けて、慈善団体を訪問すべきか、また活動を真剣に始めるべきか、やや逡巡していた2007年のあるとき。移動の車中、前を走る青いボディのバスが視野に入った。子供たちが食事をしている様子が、バスのボディに描かれている。


バスの後部の文字が、目に飛び込んで来た。

"Feeding for a hungry child is not charity. It's our social responsibility."


「お腹を空かした子供に食事を与えることは、チャリティ(慈善)ではありません。我々の社会的責任です」


社会的責任です。この言葉に、心を射抜かれた。それまでは、わたしは、貧しい人たちに対して何らかの施しや支援を行うことに対し、「慈善活動」「ヴォランティア」と定義して来た点において、「自分には向かない行いだ」との拒絶反応を起こしていた。しかしそれらの活動を「社会的責任」と表現すると理屈抜きに関われるような気がしたのだ。のちに、アクシャヤ・パトラを訪問した際、このバスが同団体のものだったとわかり、感じ入った次第だ。(2019年4月)


https://www.akshayapatra.org


【過去の訪問記録】

●貧困層公立学校に無償でランチ。世界最大の給食センター(2018)

●「ハーレー・クリシュナ!」クリシュナ生誕祭の祝典へ(2018)

●遍くこどもに給食を。食事が育むインドの未来。(2012)