BANGALORE GUIDEBOOK バンガロール・ガイドブック

●「新築」や「南向きの窓」「最上階」は避けるべし


インドには「ヴァーストゥ・シャーストラ」と呼ばれる風水がある。中国の風水の起源ともいわれており、カンボジアのアンコールワットがその教えに従っている。ヴァーストゥ・シャーストラを意識して家を探すのは上級テクニック過ぎるにしても、日本的な感覚で選ぶと失敗する場合がある。


バンガロールは従来「ガーデンシティ」「エアコンシティ」と呼ばれ、4~5月の真夏の時期でも冷房は不要、年間を通して過ごしやすい避暑地だった。しかし昨今の著しい都市化により、樹木が大量に伐採され、高層ビルディングが急増。冷房を備えた住居も増え、夏の気温が年々上昇傾向にある。高層ビルの最上階は、低層と比べ温度が高く、南向きの窓は部屋を温室のように温めてしまう。エレベータの故障もありがちなので、できれば「階段で昇降できる高さ」を選びたい。


新築物件は、トラブル発生のリスクが高い。インドでは、漏水、停電などは日常茶飯事だが、新築はそれが際立つ。新築物件は「不具合を直しつつ住みやすい環境に育てる」という感覚。だからといって誰かが住んだことのある家が問題がないかといえばそうとも限らない。であれば、新築の方がいいのではないか、と言われそうだが、高級物件でもない限り、トラブルの度合いが、多分、違う。ともあれ、騒音や鳩害など、周辺環境を把握するためにも、物件を確定する前に、昼夜2回は訪れたい。寺院やモスクはスピーカーを使い、大音量で経典を流す。飲食店も夜になると大音量で音楽を流すところもある。万全な下見をしておくに、越したことはない。



●引っ越しの際は、オーナーとの交渉を綿密に


入居時は、ギザ(浴室の湯沸かし器)や冷房、天井のファンなど備え付けの家電の作動状況を確認すること。これらの取扱説明書やサーヴィスセンターの連絡先などを、オーナーから受け取っておくことも大切。また、設備の修理を、どこまでオーナーが負担してくれるのかも、明確にしておこう。



●慢性的な電力不足と、不安定な電力供給


インドでは、近年の急速な経済発展に伴い、電力需要が急増中。しかし需要が追いつかず、恒常的な電力不足だ。国民の2割以上が電気のない生活をしているとのデータもあり、一人当たりの消費電力量は、日本の消費量の2割に満たない(2009年)。公共施設やオフィス、富裕層や外国人駐在員家族が暮らす住宅には、バックアップ用の自家発電装置がついているが、それが故障することもある。たとえ停電していなくても、電流が寄せては返す波のように不安定なため、家電にトラブルが起こりやすい。

バンガロールでの

住まい選びと、暮らしの注意点


日本に比べると、生活インフラストラクチャーの不備が目立つインドの日常。ちょっとしたトラブルが、時間と労力を浪費し、ストレスの原因となります。ここでは、なるたけ平穏な日常生活を送るためのポイントをご紹介します。

●コンピュータなど電子機器にはスタビライザー&UPSを


「コンピュータがまた壊れた」「テレビから煙が出た」「ギザのプラグが溶けた」……。インドでは、日常茶飯事だ。修理に手間取るので、仕事に直結するコンピュータや携帯電話などの故障は避けたいもの。電子機器類の電源を直接コンセントにつないだのではリスクが高い。ぜひスタビライザー(電源安定化装置)の装備を。電流の大波が押し寄せてきた場合、防波堤となってくれる。また停電の多いインドでは、UPS(無停電電源装置)も必須。停電の際も数時間なら使用できる。なお、我が家では2005年に移住して以降、オフィス機器には下の写真にあるAPCのUPSを使用している。これは、スビライザー機能(Surge Protection)機能も備えているので、1台2役を担ってくれる。数年に一度、バッテリーがダメになるので買い換えているが、この十数年、トラブルは回避できている。なお、リヴィング・ルームには大型の装置を備えるなどして自衛している。



●電源のスイッチは、こまめに切って故障を防ぐ


洗濯機や電子レンジ、テレビやオーディオなど、冷蔵庫以外の家電は、使用していないときは電源を切る習慣を。スイッチを入れたままだと、電子機器の基盤がダメージを受けやすく、故障の原因になる。ギザのスイッチを長時間つけっぱなしにしておくと、サーモスタット機能が搭載されていても、プラグが溶けるなどのトラブルが発生することもある。常時、電源を入れている冷蔵庫と併せて、ときどき異状がないかどうか、コンセントとプラグの接続部やコードの部分を確認したい。

中国の風水の起源と言われるヴァーストゥ・シャーストラ

●ヴィザの更新をしたら、真っ先に電話会社へ連絡を!


AIRTELなど電話会社で、ポストペイド(後払い)のSIMカードを契約する際、諸書類と共に滞在ヴィザの情報を提供する必要がある。契約に際しては、あれこれと手間取り時間がかかるにも関わらず、ヴィザの期限が切れた瞬間に、SIMカードが使用できなくなる。また支払いが遅れたときも同様。驚くほどの敏捷性で、サーヴィスを停止される。駐在員家族の多くが、このトラブルに巻き込まれ、しかし原因がわかるまでに数日かかったというケースをこれまで幾度も見てきた。SIMカード、即ち電話が使えないのは、致命的な問題となる昨今の暮らし。「ヴィザの更新=電話会社に申告」を忘れずに!



●長期不在時には、各種支払いを忘れずに!


電気代は毎月、BESCOMへ支払う。期限を過ぎると、予告なしに電気が止められる。請求書を受け取ったら、それが本当に自分の家のものかどうかを確認し(かつて、ご近所さんの請求書に支払ってしまった経験あり)、



●水の出が悪いな、と思ったら蛇口の掃除を

 

水道の蛇口からの水の出が悪い、あるいは水があらぬ方向に放出される場合には、蛇口に付いたリングを回して、取り外してみよう。リングには小さなネットが装着されているのだが、ここに砂や小石がたまっている場合がある。これらを掃除すれば、水は速やかに流れる。また洗濯機の給水に時間がかかる場合も同様の原因が考えられる。ホースの装着部分を取り外して掃除を。シャワーヘッドも同様だ。

スタビライザー機能を備えたUPSは、APC製がお勧め

BELKIN製のタップはプロテクション機能付きで良質

電子レンジや洗濯機、テレビ、オーディオなどの家電は、

使用時以外はスイッチを切る習慣を

CONTENTS


●「新築」や「南向きの窓」「最上階」は避けるべし

●引っ越しの際は、オーナーとの交渉を綿密に

●慢性的な電力不足と、不安定な電力供給

●コンピュータなど電子機器にはスタビライザー&UPSを

●電源のスイッチは、こまめに切って故障を防ぐ

●ヴィザの更新をしたら、真っ先に電話会社へ連絡を!

●長期不在時には、各種支払いを忘れずに!

●水の出が悪いな、と思ったら蛇口の掃除を