ヴァラエティ豊かな外食を楽しむために。


インドを訪れる人は、それがバックパッカーの旅であれ、ビジネストリップであれ、「旅の途中でお腹を壊すかもしれない」「食料を持参して行くべき?」と思っている人が多いようだ。確かに、お腹を壊す人もあるだろう。しかし、過剰な不安や思い込みが、腹痛を引き起こすともいえる。


個人的な経験から言えば、訪れる店、口にする飲食物を選べば、簡単にお腹を壊したりしない。わたしは米国在住時にインドを数回旅したが、一度も食あたりを起こさなかったし、2005年に暮らし始めてからも、明らかに外食でお腹を壊したのは、1度だけ。生ガキに当たったときのみだ。


特にわたしの胃腸が丈夫だというわけではない。日本から訪れる家族、これまでインド視察旅行でご案内した数多くの日本の方々……。ほとんどがきちんと食事をされ、元気に帰国されている。


多少お腹の調子が悪くなる人はあっても、大事に至る人はかつてなかった。特に下記のことに気をつけていれば、楽しいインドの食を楽しめるはずだ。


・清潔なボトルに入った水を飲む。胃腸への刺激を抑えるためにも、なるたけ室温で。

・露店の飲食物を口にする際は、加熱されているものを選ぶ。果物や果汁、氷入りなどは避ける。

・高級レストラン以外では、サラダなどの生もの、氷入り飲料を避ける。

・インド料理の、特にカレー(煮込み)は油脂分が多く、辛みが強いものもあるので控えめに。

・食べ過ぎ、飲み過ぎ(酒類)を避ける。特に揚げもの、クリーミーなもの、辛いものに注意。


胃腸の不調は食事だけが原因だとは限らない。ハードスケジュールを組んでいると、睡眠不足で胃腸が弱ることもあるし、暑い時期は脱水症状と相まって、不調となることもあろう。


旅行の途中であれば、なるたけ睡眠をしっかりとって疲れを溜めないこと、また暑い時期には、水分(室温)のこまめな補給を心がけたい。



■昨今のインドのレストラン事情


貧富の差が著しいインドでは、飲食店の価格差も極めて著しい。たとえ都市部でも、店によっては100円も出せばお腹を満たせる。一方で、高級ホテルなどにある豪奢なレストランでは、先進国と何ら変わらぬ価格設定だ。


庶民派食堂の中には、ホテルでは決して味わうことのできない、地元の伝統的な料理を楽しめるところもある。「都市別ジャンル別★レストラン・ガイド」では、幅広いカテゴリーの店を選んでいるので、店の雰囲気などを参考にしながら、選んでいただければと思う。


ところで従来のインドでは、高級飲食店と言えば、高級ホテル内のレストランが大半だった。しかし昨今は、市井にもクオリティの高い世界各国のレストランが誕生している。特に都市圏でその傾向が目覚ましい。


「インド的」にアレンジされたチャイニーズは、古くから人気だったが、最近はイタリアンを中心としたコンチネンタル料理の店が増えている。また、日本料理を含むオリエンタル料理店も見られる。欧米の食材を輸入、あるいは国内生産するようになり、味わいも年々向上。外食産業もまた急成長中だ。



■わからなければ、尋ねる。ある程度なら、遠慮せずにリクエストを。


メニューの中でわからない料理があれば、積極的に尋ねたい。また、特にインド料理については、その店のお勧め料理を確認するといいだろう。


インド人は濃厚な味付けの料理を好むため、インド料理以外でも、こってりとしたものが多い。たとえばイタリアンなら、「ドレッシングを控えめに」とか、「クリームソースパスタのクリームを少なめに」、チャイニーズなら「醤油と塩を少なめに」といった具合にリクエストすると、注文に応じてくれることもある。願いが叶う率は店によるが、だめでもともと、リクエストして損はない。


ただし、カジュアルなイタリアンで、「パスタはアルデンテで!」みたいなことを主張しすぎるのは、むしろ恥ずかしい。そもそも、あらかじめ大量にパスタを茹でている店が多いので、アルデンテは無理なのだ。


日本人はバブル経済のころから、やたらとアルデンテに拘る人が増えたが、他国はそれほどではない。ましてやインドでは、何をか言わんや。なので、あまり固執せず、昭和のイタリアンを思い出して、消化のよいパスタを楽しんでいただきたい。



■精算時のチップの支払い方


欧米同様、インドにも「チップ(心付け)」の習慣がある。レストランでは、10%前後のチップが一般的だ。


最近では、SERVICE CHARGE (S/C)として、あらかじめ5%〜10%のチップが上乗せされた伝票を出す店も増えている。その際は、サーヴィスがとてもよかったので更に上乗せしたいという場合を除き、チップの支払いは不要だ。


チップはクレジットカードのレシートに書き加えるのでもいいし、チップの分だけを現金で置いて行くのでもいい。なお、クレジットカードでの支払い時は、単位などを間違いなく記入すること。



■ワインの注文には要注意!


最近、グルメな富裕層のあいだでちょっとした社会問題となっているのが、高級ホテルなどの飲食店における、「高級ワインの無言で押し売り行為」である。極めてバブルな趨勢だ。


たとえば2,000ルピーのボトルワインを注文したとする。給仕が「今、そのワインは切らしていますので、こちらはいかがですか?」と勧めてくるとする。その場合は、絶対に値段を確認すること。同じ価格帯のワインだと思い込んで注文したところ、10倍もする輸入ワインを開けられた……といった事態が、数多く発生しているのだ。


ワインの注文のトラブルを避けるには、メニューを指差して、値段を確認するくらいの注意が必要だ。また、「本日お勧めのメニュー」などで、料金が明示されていないものや、マーケットプライスとなっているものも、必ず値段を確認してから注文を。


値段を聞くのは恥ずかしいことでもなんでもない。あとから目玉が飛び出るような伝票を受け取るのを防ぐためにも、曖昧な点を残さずに注文し、食事を愉しみたいものである。